「赤ちゃんがいる部屋、冷房は何度にすればいいの?」
「夜つけっぱなしにして、冷えすぎたりしない?」
夏になると必ず出てくる悩みです。育児書やネットには「26〜28℃」「湿度50〜60%」といった数字が並んでいて、その通りにできているか不安になりますよね。
先にお伝えすると、その数字は目安であって、正解ではありません。この記事では、目安としての数字と、それ以上に大事な「赤ちゃんのどこを見るか」を整理します。
結論:数字は目安、判断するのは赤ちゃんの様子
- 室温の目安はおおむね25〜28℃。ただしこれは「この数字でなければいけない」というものではありません。
- ⚠️ エアコンの設定温度と、実際の室温は違います。28℃に設定しても、部屋が28℃とは限りません。
- 外気との差は5〜7℃が目安とされますが、外が39℃といった猛暑日には現実的ではありません。その場合も24℃を下回るほど下げないことが大切です。
- 夜はつけっぱなしで構いません。タイマーで切れて室温が急に上がるほうが、睡眠が削られて翌日の熱中症リスクが上がります。
- そして何より、保護者自身が心地よく過ごせているかを基準にしてください。大人が「暑い」と感じる部屋は、赤ちゃんにとっても暑い部屋です。
なぜ赤ちゃんは暑さに弱いのか
赤ちゃんが大人と同じ感覚で大丈夫だろう、とはいかない理由があります。
- 体重あたりの水分量が多いため、失われたときの影響が大きい
- 体重のわりに体表面積が大きく、外の気温の影響を受けやすい
- 汗をかく機能がまだ未熟で、体温を下げるのが上手ではない
- 自分で移動できない——暑い場所から逃げることも、服を脱ぐこともできません
そしてもう一つ、あまり知られていない大事な点があります。体温調節は、起きているときのほうがうまく働きます。つまり寝ている間のほうが、暑さに対して無防備だということです。
夜間の冷房を切るかどうかで迷ったら、この点を思い出してください。
家庭でできる、5つの確認ポイント
1. 設定温度ではなく「室温」を測る
環境省も、クールビズの「室温28℃」はエアコンの設定温度ではないと明記しています。エアコンの温度計は本体の位置で測っているため、赤ちゃんが寝ている床に近い場所とは差が出ます。
赤ちゃんが過ごす高さに温湿度計を1つ置くだけで、「思っていたより暑かった」に気づけます。
2. 風を直接当てない
冷房の風が赤ちゃんに直接当たり続けると、体が冷えすぎることがあります。風向きを上向きにし、サーキュレーターや扇風機は壁や天井に当てて空気を回す使い方にすると、部屋全体が均一になります。
3. 抱っこしたときの背中を触る
これがいちばん確実な方法です。抱き上げたときに背中や首の後ろが汗ばんでいたら暑いサイン。服を1枚減らす、おくるみを外す、空調を調整する、で対応します。
手足が冷たいことを気にする方が多いのですが、赤ちゃんは手足で放熱しているので、手足の冷たさだけでは判断できません。
4. おしっこ・うんち・機嫌をセットで見る
暑さで水分が足りていないかどうかは、温度計ではなく排泄と元気さに出ます。いつも通りおしっこが出ているか、機嫌はどうか。ここが普段通りなら、数字が多少ずれていても慌てなくて大丈夫です。
5. 寝具は「重さ・通気性・口元にこないか」で見る
こども家庭庁は、窒息や乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを下げるため、1歳までは掛け布団を使わず、スリーパーや空調で温度を調整することをすすめています。寝床には、身体が沈まない硬めで平坦な布団を使い、ぬいぐるみやタオルなど不要なものを置かないこととされています。
これは「重いものが顔にかかる」「柔らかいものに沈み込む」ことを避けるための考え方です。ただ、実際の生活では、何も掛けないというのは難しい場面もあります。
気をつけたいのは「重くて通気性の悪いものが、口元にかかること」であって、掛けもの全部がだめ、という話ではありません。
タオルやおくるみ、ガーゼケットのように軽くて通気性のよいものを、口元にかからない位置で使うぶんには、問題ないことが多いです。まったく何も使わないというのは、現実には難しいと思います。おくるみやタオルケットを掛け物の代わりに使うことは病院でもよくありますので利用してください。
見るのは3つだけ。重くないか/通気性は悪くないか/口元にきていないか。ここさえ外さなければ、神経質にならなくて大丈夫ですよ。
そのうえで夏は、厚い掛けもので調整するより、空調で室温そのものを整えるほうが確実です。
夏用スリーパーを使うかどうかは、夏のスリーパーは必要?いらない? もあわせてご覧ください。
育児書には「室温○℃、湿度○%」と書いてありますが、私はそこまで神経質にならなくて大丈夫だとお伝えしています。数字を守ることが目的になってしまうと、かえってしんどくなってしまうので。
基本はお母さん・お父さんが心地よく過ごせる環境を基準にしてください。そのうえで、赤ちゃんの汗・飲み具合・おしっこやうんち・機嫌を合わせて見る。抱っこして汗びっしょりだったら、服やおくるみ、空調を調整する。それで十分です。あとは赤ちゃんを寝かせる場所ですね。できればエアコンの風が直接当たらないような場所に寝かせてあげる、もしくはエアコンの風向きを調整するなどで工夫してみてください。
「何度が正解か」を探すより、目の前の赤ちゃんがどういう状態かを見られるようになるほうが、ずっと役に立ちますよ。
「暑いから」と授乳を増やすべき?
夏によく聞かれる質問です。
汗をかくぶん水分が心配になりますが、暑いからといって母乳やミルクを機械的に増やす必要はありません。まず見るのは、普段通り飲めているか。そのうえで、おしっこ・うんち・元気さを合わせて確認します。
離乳食が始まっているお子さんは、食事から水分をとる分も増えてきます。麦茶や白湯を足すかどうかは月齢によって考え方が変わるので、迷ったら健診や相談の機会に聞いてみてください。
新生児から2、3ヶ月のお子さんまでで、臨床の経験上明らかな風邪や下痢症状、元気がない(普段よりミルクを飲まないことが続く)という症状がない状態で脱水と診断されている新生児から乳児は経験上は見たことがありません。よく飲んで、普段通り排泄があるようであれば赤ちゃんの脱水はそこまで心配しなくていいでしょう。ただ、赤ちゃんは体力は少ないので暑い日の外で長時間などの外出は避けるのが無難です。また、ママもまだ体が本調子ではない時期だと思いますので休息やリラックスした環境を作ってくださいね。
よくある場面と、どうするか
- 夜中に汗びっしょりで起きた → 服を1枚減らす/室温を1℃下げる。掛けものは軽く通気性のよいものにし、口元にかからない位置へ
- エアコンをつけると咳が出る気がする → 風が直接当たっていないか、フィルターの掃除状況を確認。続くようなら受診を
- 帰省先でエアコンの効きが違う → 温湿度計を持参すると、いつもの基準のまま判断できます
- 昼寝のときだけ暑そう → 日中は日射でぐんと室温が上がります。遮光カーテンで室温そのものを下げる
相談を考えたほうがいいサイン
次のような場合は、家庭での調整だけで終わらせず、相談・受診をしてください。
- おしっこの回数が明らかに少ない、半日以上出ていない
- 唇や口の中が乾いている、泣いても涙が出ない
- ぐったりして反応が鈍い、呼びかけへの反応が普段と違う
- 熱がある、いつもと違う激しい泣き方が続く
病院やクリニックの受診はさんご1ヶ月までは出産した病院に電話で相談するのがいいでしょう。それ以降はお近くのクリニックの受診でいい場合がほとんどです。
環境省「熱中症環境保健マニュアル」(クールビズにおける「室温28℃」はエアコンの設定温度ではありません) https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_3-1.pdf / こども家庭庁「赤ちゃんが安全に眠れるように」 https://www.cfa.go.jp/policies/boshihoken/kenkou/sids / 坂本昌彦(佐久総合病院 佐久医療センター小児科医長)「子どもに適切な夏の室内温度環境とは?」日本医事新報社 https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_26740
まとめ
夏の室温は、おおむね25〜28℃が目安です。ただし設定温度と室温は別物ですし、猛暑日には外気との温度差の目安にこだわりすぎないほうが安全です。夜間はつけっぱなしで構いません。
そして、いちばん頼りになるのは温度計ではなく、赤ちゃんの背中の汗・飲み具合・排泄・機嫌です。数字の正解を探すより、目の前の赤ちゃんの状態を見る。それができていれば、大丈夫です。
この記事について
文=やすぴ(育児ひろば 運営者)。医療・安全に関わる部分は、助産師MOKOが内容を確認しています。運営者・監修者のくわしいプロフィールは運営者情報をご覧ください。

