抱っこしても、授乳しても、おむつを替えても泣き止まない。
時計を見たら、もう1時間近く経っている。
そんな夜を過ごしている方に、まずお伝えしたいことがあります。泣き止まないのは、あなたのやり方が悪いからではありません。 赤ちゃんには、理由がはっきりしないまま泣く時期があります。
この記事では、まず順に確認したい4つのこと、それでも泣き止まないときにどうするか、そして「いつもの泣き」と分けて考えたほうがいいサインを整理します。
結論:4つ確認して、だめなら「離れていい」
- まず確認するのは ①お腹が空いている ②暑い・寒い ③抱っこしてほしい ④おしっこ・うんちで気持ち悪い の4つ。
- 「前の授乳から3時間経っていないから、空腹のはずがない」と時間で決めつけないでください。
- 一通り試しても泣き止まないことは、普通にあります。生後2か月ごろは、赤ちゃんがいちばん泣く時期です。
- どうしてもつらくなったら、赤ちゃんを安全な場所に寝かせて、その場を離れて大丈夫です。これは正式にすすめられている対処法です。
- ただし、絶対にしてはいけないのは「激しく揺さぶること」と「口をふさぐこと」。ここだけは例外がありません。
まず確認する4つ
病気以外で泣いている場合、多くはこの4つのどれかです。
① お腹が空いている
いちばん多い理由です。そして、いちばん見落とされやすい理由でもあります(次の項目で詳しく書きます)。
② 暑すぎる・寒すぎる
抱き上げたときに背中や首の後ろが汗ばんでいたら暑いサインです。服を1枚減らす、おくるみを外す、室温を調整する。手足の冷たさだけでは判断できません(赤ちゃんは手足で熱を逃がしています)。
③ 抱っこしてほしい・安心したい
お腹も空いていない、おむつも濡れていない。それでも泣くとき、単純に抱っこして安心したいということがあります。「抱き癖」を心配される方がいますが、抱っこで安心させることは必要なことです。
④ おしっこ・うんちで気持ち悪い
出た直後で、まだ量が少なくても気になる子がいます。少量でも一度替えてみてください。
「3時間経ってないから空腹のはずがない」を、いったん外す
ここがこの記事でいちばんお伝えしたい部分です。
「さっきミルクをあげたばかりだから、お腹は空いていないはず」——こう考えて、そこから先に進めなくなってしまう方がとても多いんです。
でも、赤ちゃんは毎回きっちり同じ量を飲むわけではありません。前の回に途中で寝てしまって、飲み足りていないこともあります。授乳の間隔は目安であって、赤ちゃんとの約束ではないんですよ。
ですから、時間が空いていなくても、いつもより早めに授乳してみていいと私はお伝えしています。それで落ち着いて眠れるなら、それがその日の正解です。
そのうえで、そういう日が続くようなら、次回以降の1回の量を少し見直してみる。そんなふうに、赤ちゃんの様子に合わせて調整していけば大丈夫です。
「規則正しくやらなければ」と思うほど、対処の選択肢が減ってしまいます。時間はあくまで目安、と一度手放してみてください。
それでも泣き止まないときは、理由がないこともある
4つ全部やっても泣き止まない——これは異常ではありません。
赤ちゃんの泣きには、生後2週間ごろから増えはじめ、生後2か月ごろにピークを迎え、その後だんだん和らいでいくという流れがあることが知られています(「パープルクライング」と呼ばれます)。
この時期の泣きには、こんな特徴があります。
- 理由が予想できない(お腹でもおむつでもない)
- なだめようとしてもおさまらない
- 痛そうな表情で泣く(でも、どこかが痛いとは限りません)
- 長く続く(1日に合計5時間泣くこともあります)
- 午後から夕方にかけて多い(いわゆる「たそがれ泣き」)
心当たりがあるのではないでしょうか。これは赤ちゃんの発達の過程で起きることで、あなたの対応が原因ではありません。 そして、必ず終わります。
⚠️ つらくなったら、離れていい
一通り試しても泣き止まず、自分がイライラしてきた。そう感じたときの正しい対処が、公的に示されています。
こども家庭庁は、イライラしたときの手順として、次のようにすすめています。
1. 赤ちゃんを安全な場所に寝かせて、その場を離れる
2. 自分がリラックスする
3. 少ししたら戻って、様子を確認する
泣かせたまま離れることに罪悪感を持つ方が多いのですが、これは逃げではなく、正式にすすめられている対処です。安全な場所(ベビーベッドなど、まわりに物のない平らな場所)にあおむけで寝かせてあれば、数分泣いていても大丈夫です。
泣き止まなくてつらいとき、赤ちゃんを安全なところに寝かせて、少し離れてお茶を飲んだりする。それでいいと思いますよ。抱っこし続けて限界を超えてしまうより、ずっといいんです。
そして、泣きやませようとして激しく揺さぶること、泣き声が周囲に聞こえないように口をふさぐことだけは、してはいけません。 ここは例外がありません。
なお、ふつうのあやし方で揺さぶられ症候群になることはありません。高い高いも、ゆらゆらの寝かしつけも、支えていれば大丈夫です。心配になった方は 赤ちゃんを揺さぶってはいけない理由|「これは大丈夫?」に助産師と答えます をご覧ください。
こども家庭庁「赤ちゃんが泣きやまない 〜泣きへの理解と対処のために〜」(約11分の解説動画あり) https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/nakiyamanai
試してみる価値のあること
4つを確認したあと、余力があれば試してみてください。合う子・合わない子がいるので、効かなくても気にしないでください。
- 縦抱きにして、背中をゆっくりさする(げっぷが残っていることもあります)
- おくるみでやさしく包む(脚は自由にしたまま。詳しくはスワドルは本当に必要?)
- 場所を変える(別の部屋へ、ベランダへ、外の空気に当たる)
- 音や振動(換気扇、ビニールの音、車、バウンサー)
- 抱っこして歩く(座るより歩くほうが落ち着く子が多いです)
一つずつ長めに試すのがコツです。次々変えると、赤ちゃんも切り替えられません。
「いつもの泣き」と分けて考えるサイン
ここまでは「よくある泣き」の話です。次のような場合は、別のこととして考えてください。
- いつもと違う、激しい泣き方が長く続く
- ぐったりしている、反応が鈍い、元気がない
- 顔色が悪い、唇の色がおかしい
- 熱がある(生後3か月未満の発熱は、それだけで受診の理由になります)
- 繰り返し吐く、便に血が混じる
- 泣き方が急に変わった(急に泣き出して、また静かになるのを繰り返す)
判断の軸は「何分泣いたか」ではなく、いつものこの子と違うかどうかです。毎日見ている人の「なんかおかしい」は、かなり当たります。迷ったら、夜間でも小児救急電話相談(#8000)に電話して大丈夫です。
#8000は、ふつうにおすすめです。生後3か月ごろまでなら、出産した病院に相談してしまうのも手ですよ。
それと、もうひとつお伝えしたいことがあります。「授乳は3時間空ける」と思い込んでいる方が、とても多いんです。特にミルクの方。
臨機応変で構いません。あげて30分〜1時間でお腹を空かせて泣くようなら、半分くらいの量をもう一度。2時間ほど経っていれば、いつもの量をあげてしまって大丈夫です。2〜4時間のあいだで調整する、という感じですね。
大人だって、毎回決まった時間にお腹が空くわけではありません。赤ちゃんも同じです。
夜だけ寝なくて大変、この時間帯だけいつも大変——そういうときは、その回だけミルクの量を増やすのもいいですよ。
⚠️ ただ、毎回4〜5時間空いてしまうと、一日の授乳回数そのものが減ります。眠りすぎているようなら、そこは見てあげてください。
よくある質問
Q. 抱っこばかりしていると、抱き癖がつきませんか?
A. 抱っこで安心させることは必要なことです。泣いているときに応えてもらえる経験のほうが、赤ちゃんには大切です。
Q. 夕方になると必ず泣きます。おかしいですか?
A. 午後から夕方に泣きが増えるのは、この時期によくあることです(たそがれ泣き)。生後2か月ごろをピークに、だんだん落ち着いていきます。
Q. 泣かせっぱなしにして、脳に影響はありませんか?
A. 安全な場所で数分泣いていることで問題が起きることはありません。それよりも、限界の状態で抱き続けて揺さぶってしまうほうが危険です。
Q. 何時間も泣き続けています。病院に行くべき?
A. 上の「いつもの泣きと分けて考えるサイン」に当てはまるなら受診を。当てはまらなくても不安なら、#8000に相談して構いません。
まとめ
赤ちゃんが泣き止まないとき、まず お腹・温度・抱っこ・おむつ の4つを確認してください。そのとき、「まだ3時間経っていないから」で選択肢を狭めないこと。
それでも泣き止まないことはあります。生後2か月ごろは、いちばん泣く時期です。理由がないこともあります。
つらくなったら、安全な場所に寝かせて離れていい。絶対にしてはいけないのは、揺さぶることと口をふさぐことだけです。
今日うまくいかなかったとしても、あなたのやり方が間違っているわけではありません。この時期は、必ず終わります。
この記事について
文=やすぴ(イクジヒロバ 運営者)。医療・安全に関わる部分は、助産師さくらが内容を確認しています。運営者・監修者のくわしいプロフィールは運営者情報をご覧ください。


