「かかりつけの小児科は決まっていますか?」
健診や退院のときに聞かれて、はじめて考える方が多いところです。まだ決めていなくても、遅くはありません。
ただ、先に決めておくと、あとがずいぶん楽になります。理由は単純で、熱を出してから探すのは、いちばんつらいタイミングだからです。
結論:まず「近さ」で決めていい
いろいろな基準がありますが、最優先は距離です。
- 徒歩やベビーカーで行ける(車なら15分以内が、運営者の目安です)
- 赤ちゃんを抱えて、熱がある状態で、どれだけ通えるか
腕の良さや評判も大事ですが、遠くて通えない病院は、かかりつけになりません。夜中に熱を出したとき、翌朝いちばんに連れて行ける距離かどうか。そこが実務的にいちばん効きます。
厚生労働省の「上手な医療のかかり方.jp」も、かかりつけ医を選ぶポイントの一つに、身近であることを挙げています。
かかりやすさという観点からも、かかりつけ医は身近であることが望ましいです。— 厚生労働省「上手な医療のかかり方.jp」かかりつけ医の探し方
そのうえで、次の5つを見てください。国の資料に書かれていることには出典を添えました。それ以外は、運営者が通う側の目線で大事だと考えている点です。
見るところ5つ
① 予防接種のスケジュールを管理してくれるか
赤ちゃんの予防接種は、生後2か月から、同じ時期に何種類も重なって始まります。厚生労働省の「生後2か月から推奨される予防接種」のページには、ロタウイルス・5種混合・子どもの肺炎球菌・B型肝炎の4つが並んでいます。5種混合と子どもの肺炎球菌については、こう書かれています。
生後2か月から初回の接種を行い、一定期間を経て追加の接種を行います。— 厚生労働省「生後2か月から推奨される予防接種」(5種混合ワクチン・子どもの肺炎球菌ワクチンの欄)
種類が多いため、スケジュールは医療機関と相談して決めるよう、厚生労働省も書いています。
…生後2か月から接種を受けることができるワクチンの種類が多いため、医療機関等と相談して予防接種のスケジュールを計画してください。— 厚生労働省「ロタウイルスワクチン」(よくある質問)
同じ病院で続けると、次の予定をその場で相談しやすくなります。
「次はいつ来てください」と言ってもらえるかどうかで、親の負担がまったく違います。
予防接種の全体像は赤ちゃんの予防接種|生後2か月からにまとめています。
② 予約が取れるか(当日でも)
- ネット予約ができるか — 電話がつながらない時間帯でも取れます
- 当日の急な受診を受けてくれるか — 熱は予告なく出ます
- 予防接種と一般診療の時間帯が分かれているか — 分かれていれば、熱やせきで受診する子と待合室で一緒になりにくくなります
③ 診療時間が生活に合うか
- 土曜や夕方にやっているか
- 昼休みの時間帯(急なときに困ることがあります)
- 予防接種の枠が、いつ空いているか
④ 話を聞いてくれるか
ここは相性の部分です。
- 疑問を聞いたときに、答えてもらえるか
- 「様子を見ましょう」だけで終わらず、どうなったら受診すべきかを教えてくれるか
一度行ってみないと分かりません。運営者は、予防接種の1回目をお試しの機会と考えています。
⑤ 紹介先を持っているか
赤ちゃんの体調で、より専門的な検査や治療が必要になることがあります。そのとき、近くの病院へ紹介してもらえるかどうか。
厚生労働省も、かかりつけ医を持つメリットの一つにこれを挙げています。
かかりつけ医は必要に応じて適切な医療機関を紹介してくれます。— 厚生労働省「上手な医療のかかり方.jp」かかりつけ医ってなに?
初診のときに聞くようなことではありませんが、運営者は、地域で長くやっている病院ほど、この点は心強いと感じています。
かかりつけの小児科を事前に調べる・もしくは考えるときにオススメなのは休診日を確認することです。休診日の被らない小児科クリニックを2つほど見つけておくと今後急な発熱などの体調不良の際に安心です。また、夜間・休日に受診できる病院も調べて置けるとおおですね。
いつ決めるか:産まれる前がおすすめ
妊娠中に、候補を2つほど見ておくのが理想です。
厚生労働省の「上手な医療のかかり方.jp」にも、妊娠中から知っておくことをすすめる一文があります。
また妊娠中から小児科医師や小児科医療機関を知っておくことも、産後間もなくからの乳幼児のかかりつけ医を見つけやすくなり安心です。— 厚生労働省「上手な医療のかかり方.jp」かかりつけ医の探し方
- 家からの距離と道順(ベビーカーで行けるか)
- 診療時間
- 予約の方法
産後は外に出るのが大変です。そのうえ予防接種は生後2か月から始まるので、1か月健診が終わるころには、予約のことを考える時期になります。ロタウイルスワクチンは、初回の標準的な時期が生後8〜14週とされています(厚生労働省)。予防接種の案内は、原則として住んでいる市区町村から個別に届きます(厚生労働省「定期接種実施要領」)。
生後2か月の予約が取りにくいかどうかは病院や地域によって違い、国の資料では確かめられませんでした。運営者としては、1か月健診のころに、候補の病院へ予約の方法を電話で聞いておくことをすすめます。
この確認は、どちらがやっても構いません。 妊娠中なら、動けるほうが下見に行くのが現実的です。
皮膚科も、決めておくと安心です
意外と見落とされがちですが、赤ちゃんは肌トラブルが多いです。
- 乳児湿疹
- 乾燥(とくに秋冬)
- おむつかぶれ
- あせも
軽いものは小児科でも見てもらえますが、長引くとき・広がるときは皮膚科のほうが専門です。
小児科と皮膚科、両方に近いエリアがあると心強いので、余裕があれば一緒に調べておいてください。
⚠️ ただし、まず小児科で相談してから紹介してもらうという流れでも構いません。迷ったら小児科です。
赤ちゃんや乳幼児の皮膚トラブルはとてもよくあります。お尻かぶれや乳児湿疹など。赤ちゃんは医療費もかかりませんし、保湿だけでは治らないケース・早く介入したほうが治りが早いケースも多いのでよく通うことになるでしょう。最近はネット予約やオンライン受付ができる場所も増えているので受診方法も一つ選ぶポイントになるかもしれませんね。
※ 子どもの医療費は、住んでいる自治体によって自己負担がある場合があります(年齢・回数・金額の決め方が自治体ごとに違います)。くわしくは、すぐ下の説明をご覧ください。
子どもの医療費の助成は、住んでいる自治体によって中身が違います。こども家庭庁の調査では、次のとおりでした。
全ての都道府県及び市区町村がこどもに係る医療費の助成を実施していた。— こども家庭庁「令和7年度『こどもに係る医療費の助成についての調査』について」(令和7年12月24日)
ただし同じ調査で、通院に一部の自己負担がある市区町村は、1,741のうち422ありました(令和7年4月1日時点。対象年齢で分けた数ではありません)。所得制限を設けている市区町村もあります。お住まいの市区町村で確かめてください。
決めたあとにやっておくこと
1. 診察券をつくっておく — 予防接種の1回目で作れます
2. 診療時間と電話番号を、すぐ見られるところに — スマホの連絡先に登録しておく
3. 夜間・休日の受診先も調べておく — かかりつけが閉まっている時間帯の行き先
4. 母子健康手帳の置き場所を決める — 毎回持っていきます
予防接種のときに母子健康手帳を見せることは、国が市区町村と医療機関に向けて定めた手順に書かれています。
…保護者に対し、接種前に母子健康手帳の提示を求めること。— 厚生労働省「定期接種実施要領」(令和8年9月1日改正)
夜間の行き先は、住んでいる市区町村のサイトに、休日や夜間に受診できるところ(「休日夜間急患診療所」など。名前は地域によって違います)が載っていないか見ておきましょう。先に調べておくと、当日あわてずに済みます。
受診するか迷ったときは、こども医療電話相談(#8000)にかけられます。こども家庭庁の説明はこうです。
休日・夜間のこどもの症状にどう対処したらよいのか、病院の診療を受けたほうがいいのかなど判断に迷った時に、小児科医師・看護師への電話による相談ができるものです。全国同一の短縮番号「#8000」番をプッシュすると、お住まいの都道府県の相談窓口に自動転送され、小児科医師・看護師からお子さんの症状に応じた適切な対処の仕方や受診する病院等のアドバイスを受けられます。— こども家庭庁「もしものために」(こども医療電話相談)
名前は都道府県によって違い、「小児救急電話相談」などと案内しているところもあります。受け付けている日時も、都道府県ごとに違います。
各都道府県によって相談日時が異なりますので、…— こども家庭庁「もしものために」(こども医療電話相談)
都道府県ごとの受付時間は、厚生労働省の子ども医療電話相談事業のページに一覧があります。令和8年5月22日現在の一覧では、24時間受け付けている県もあれば、夜の決まった時間だけの県もありました。住んでいる都道府県の時間を、先に見ておいてください。
よくある質問
Q. まだ決めていません。手遅れですか?
A. いいえ。予防接種の1回目を受けるときに決めても間に合う、というのが運営者の考えです。厚生労働省の「上手な医療のかかり方.jp」には、次のように書かれています。
子どもにとっては健診や予防接種の機会を通してかかりつけ医を見つけるきっかけにもなります。— 厚生労働省「上手な医療のかかり方.jp」かかりつけ医の探し方
Q. 合わないと感じたら変えていいですか?
A. 変えて構いません。ただし予防接種の記録は母子健康手帳に残るので、持っていけば引き継げます。
接種したときに母子健康手帳へ記録することも、国の手順(定期接種実施要領)に書かれています。
…児の母子健康手帳に予防接種及びワクチンの種類、接種年月日その他の証明すべき事項を記載すること。— 厚生労働省「定期接種実施要領」(令和8年9月1日改正)
Q. 総合病院と個人のクリニック、どちらがいいですか?
A. 日常はクリニック、専門的な検査が必要なときに紹介してもらう、という形が一般的です。
Q. 里帰り中はどうしますか?
A. 里帰り先で受けられることもありますが、自治体をまたぐと手続きが必要な場合があります。里帰り前に確認しておいてください。
国は市区町村に、里帰りなどで住んでいる市区町村の外で受けたい人への配慮を求めていて、その方法の一つをこう書いています。
…居住地の市町村長から里帰り先の市町村長へ予防接種の実施を依頼する…— 厚生労働省「定期接種実施要領」(令和8年9月1日改正)
ほかにも、市区町村が里帰り先の医療機関と契約する方法や、事前に申請して、あとで費用を払い戻してもらう方法が挙がっています。どれを使うかは市区町村によって違うので、里帰りの前に、住んでいる市区町村に聞いておいてください。
まとめ
- 最優先は近さ。熱がある赤ちゃんを抱えて通える距離か
- 見るのは、予防接種の管理/予約の取りやすさ/診療時間/話を聞いてくれるか/紹介先
- 産まれる前に候補を2つ見ておくと、産後が楽になります
- 皮膚科も決めておくと、肌トラブルのときに迷いません
- 決めたら、夜間・休日の行き先も一緒に調べておく
完璧に選ぼうとしなくて大丈夫です。まず1つ決めて、通ってみる。合わなければ変えられます。
この記事について
文=やすぴ(イクジヒロバ 運営者)。医療・安全に関わる部分は、助産師さくらが内容を確認しています。運営者・監修者のプロフィールは運営者情報をご覧ください。
・厚生労働省「生後2か月から推奨される予防接種」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/months-2.html
・厚生労働省「ロタウイルスワクチン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/rota/index.html
・厚生労働省 B型肝炎ワクチンのページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/hepatitis-b/index.html
・厚生労働省 小児の肺炎球菌ワクチンのページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/pneumococcus-child/index.html
・厚生労働省 5種混合ワクチンのページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/dpt-ipv-hib/index.html
・厚生労働省 BCGのページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/bcg/index.html
・厚生労働省「定期接種実施要領」(令和8年9月1日改正)
https://www.mhlw.go.jp/content/001744583.pdf
・厚生労働省「上手な医療のかかり方.jp」かかりつけ医の探し方
https://kakarikata.mhlw.go.jp/kakaritsuke/mitsukeru.html
・厚生労働省「上手な医療のかかり方.jp」かかりつけ医ってなに?
https://kakarikata.mhlw.go.jp/kakaritsuke/motou.html
・こども家庭庁「もしものために」
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety-actions/measures-to-take
・厚生労働省「子ども医療電話相談事業(♯8000)について」(子ども医療電話相談事業実施状況・令和8年5月22日現在)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/newpage_55223.html
・こども家庭庁「令和7年度『こどもに係る医療費の助成についての調査』について」(令和7年12月24日)
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/2a8699a3-eb02-4f7a-b838-1561a0004476/945b1922/20251223_press_2a8699a3-eb02-4f7a-b838-1561a0004476_01.pdf
(いずれも2026年9月13日確認)


