「高い高いをしてしまったけど、大丈夫だっただろうか」
「ベビーカーの段差の振動が強かった気がする」
一度気になりだすと、ずっと心配になってしまいますよね。この記事は、その心配をむやみに大きくしないために書いています。
結論:ふつうのあやしで起きるものではありません
先にお伝えします。
- こども家庭庁は、首や体をしっかり支えた状態での「高い高い」や「横向き抱っこ」をして揺らすなど、通常のあやしでは乳幼児揺さぶられ症候群にはなりませんと明記しています。
- 危険なのは、頭が前後に激しく揺さぶられる状態です。
- そしてそれが起きてしまう場面は、たいてい泣き止まなくて限界まで追い詰められたときです。だからこの記事の本題は、「揺さぶらないで」ではなく「そこまで追い詰められる前にどうするか」です。
心配になって検索してここに来た方は、おそらく大丈夫です。読んで安心してもらえたらと思います。
何が危険なのか
乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)は、赤ちゃんを激しく揺さぶることで、外から見える傷はないのに脳に重い損傷が起きてしまうものです。頭の中の出血や、眼の奥(眼底)の出血などが起こります。
なぜ赤ちゃんだけなのかというと、体のつくりに理由があります。
- 体に対して頭が大きく、重い
- 首の筋肉がまだ弱く、頭を支えきれない
このため、大人なら何ともない揺れでも、赤ちゃんの頭は大きく振られてしまいます。「前後にガクンガクンと繰り返し揺れる」——これが危険な状態です。
「これは大丈夫?」よくある心配
ここがいちばん知りたいところだと思います。
高い高い — 首や体をしっかり支えていれば問題ありません。ただし、首がすわる前は体ごとしっかり支えてください。イライラした状態で勢いよくやるのは避けます。
横向き抱っこ・ゆらゆら寝かしつけ — 問題ありません。やさしく揺らすのは、赤ちゃんが落ち着く方法のひとつです。
ベビーカーや車の振動 — 段差でガタンとなる程度で起きるものではありません。
バウンサーや 電動スイング — 製品として想定された使い方であれば問題ありません。
抱っこしていて、うっかり頭がガクンとなった — 一度そうなったからといって、すぐに起きるものではありません。次から支え方に気をつければ大丈夫です。
寝返りで頭を打った/ソファから落ちた — これは揺さぶりとは別の「頭部のけが」の話です。落ちた直後は元気でも、あとから様子が変わることがあるので、下の「受診を考えるサイン」を見てください。
抱っこや高い高いのあやし方で心配される方は、とても多いです。でも、ふつうのあやし方で起きることはありません。
本当にメトロノームの針のように、頭がブンブン揺さぶられる——そういうものでなければ大丈夫です。高い高いも、ゆらゆらの寝かしつけも、問題ありません。
どちらかというと、疲れてカッとなってしまったときに起きるものです。だから、ストレスを溜めすぎないこと。安全な場所なら、少し離れてお茶でも飲む——それも手ですよ。
受診を考えるサイン
強く揺さぶってしまった心当たりがある場合、あるいは頭を打ったあとに次のような様子があれば、すぐに医療機関を受診してください。
- ぐったりして反応が鈍い、意識がはっきりしない
- けいれんを起こした
- 繰り返し吐く
- 呼吸の様子がおかしい
- ミルクや母乳を飲まなくなった
- 顔色が悪い、目つきがおかしい
判断に迷うときは、夜間でも小児救急電話相談(#8000)に電話して構いません。
受診の目安を細かく挙げるのは、正直むずかしいです。ただ、ひとつ確かなことがあります。
「ちょっとやりすぎたかな」と思ったときは、迷わず相談してください。
あとは、いつもと違うかどうか——反応や目の動きが普段と違う、というところを見ます。
いちばん大事なこと:追い詰められる前に離れる
冒頭に書いたとおり、危険な揺さぶりが起きるのは、たいてい泣き止まない赤ちゃんを前にして、限界まで消耗したときです。
こども家庭庁は、そのときの対処をはっきり示しています。
1. 赤ちゃんを安全な場所に寝かせて、その場を離れる
2. 自分がリラックスする
3. 少ししたら戻って、様子を確認する
そして、泣きやませようとして激しく揺さぶったり、泣き声が周囲に聞こえないように口をふさいだりしてはいけないとされています。
泣き止まなくてつらいとき、赤ちゃんを安全なところに寝かせて、少し離れてお茶を飲んだりする。それでいいと思いますよ。
「泣かせたまま離れるなんて」と思われるかもしれませんが、抱っこし続けて限界を超えてしまうより、ずっといいんです。数分泣いていても大丈夫です。
安全な場所というのは、ベビーベッドのようにまわりに物がなく、平らなところ。そこにあおむけで寝かせてあれば、心配いりません。
泣き止まないときに何を確認すればいいかは、赤ちゃんが泣き止まない。まず確認する4つと、「いつもと違う」を見分けるサイン にまとめています。
ひとりで抱えないために
「離れる」ができるのは、離れられる状況があるときです。そうでない日もあります。
- パートナーと交代の合図を決めておく(「もう限界」と言えるようにしておくだけで違います)
- 住んでいる地域の保健センター・子育て世代包括支援センターに電話する。泣きが止まらないという相談で構いません
- #8000(小児救急電話相談)は、受診の判断だけでなく、不安なときの相談にも使えます
追い詰められているときに「自分でなんとかしよう」と思わないでください。それがいちばんの予防です。
こども家庭庁「赤ちゃんが泣きやまない 〜泣きへの理解と対処のために〜」(乳幼児揺さぶられ症候群の解説動画あり) https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/nakiyamanai / 済生会「乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)」 https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/shaken_baby_syndrome/
まとめ
- 通常のあやしで揺さぶられ症候群になることはありません。 高い高いも、ゆらゆらの寝かしつけも、支えていれば大丈夫です
- 危険なのは、頭が前後に激しく揺さぶられる状態
- それが起きるのは、たいてい泣き止まなくて限界に達したとき。だから、その前に安全な場所に寝かせて離れるのが正しい対処です
- 心当たりがあって、ぐったりする・けいれん・繰り返し吐くなどがあれば、すぐ受診してください
心配で検索してこのページにたどり着いた時点で、あなたは赤ちゃんのことをちゃんと見ています。大丈夫です。
この記事について
文=やすぴ(イクジヒロバ 運営者)。医療・安全に関わる部分は、助産師さくらが内容を確認しています。運営者・監修者のくわしいプロフィールは運営者情報をご覧ください。


