赤ちゃんが生まれたら、どちらかの健康保険に入れる手続きをします。
ここでよく迷うのが、「父と母、どっちの扶養に入れるの?」という問いです。なんとなくで決めてしまいがちですが、実は原則が決まっています。
そしてもう一つ。「保険証はいつ届くの?」——この答えは、2024年12月から変わりました。紙の保険証は、もう新しく発行されません。 以前の記事や、上の子のときの記憶のままだと、話が食い違います。
この記事では、どちらに入れるのか・いつまでに何をするのか・保険証は今どういう形で届くのかを整理します。
結論
- 共働きの場合、赤ちゃんは原則 「年間収入が多いほう」の扶養に入ります
- 会社員・公務員なら、勤務先に申し出て、事実発生から5日以内に届出(事業主経由)
- 自営業などの国民健康保険なら、市区町村に14日以内
- 紙の保険証は2024年12月2日以降、新しく発行されません。 赤ちゃんはマイナ保険証か、資格確認書を使います
- 健康保険の資格が確認できないと、乳幼児医療費助成に進めません。 ここが起点です
どっちの扶養に入れるのか
原則=年間収入が多いほう
夫婦がどちらも健康保険に加入している場合(夫婦共同扶養)、子どもは原則として年間収入が多いほうの被扶養者とされています。
ここでいう年間収入とは、過去の収入・現時点の収入・将来の見込みなどから、今後1年間の収入を見込んだものです。「去年の源泉徴収票の額」だけで機械的に決まるわけではありません。
収入の差が小さいときは
夫婦の年間収入の差が、多いほうの1割以内である場合は、届出により、主として生計を維持する人の被扶養者とする扱いになっています。子どもの立場を安定させるための決まりです。
産休・育休に入る場合
ここは実務でよく問題になります。産休・育休中は給付金が中心になり、収入の見え方が変わります。その期間だけを見るのか、通常の状態で見るのかは、加入している健康保険によって判断が分かれることがあります。
「うちの場合はどちらになりますか」と、産む前に勤務先へ聞いておいてください。 これが確実です。
厚生労働省「夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について」 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc5892&dataType=1&pageNo=1
⚠️ 健康保険組合は、独自の基準があります
上の原則は共通の考え方ですが、勤務先が健康保険組合に加入している場合、組合ごとに独自の認定基準・必要書類を定めていることがあります。
インターネットで調べた一般論と、自分の組合の基準が違うことは普通にあります。最後は必ず、加入している健康保険(勤務先の担当部署)に確認してください。
いつまでに、どこで
会社員・公務員の場合
勤務先に申し出て、「健康保険被扶養者(異動)届」を出してもらいます。 自分で年金事務所に行くのではなく、事業主を経由して提出する流れです。
期限は、事実発生から5日以内とされています。かなり短いので、産まれたらすぐ勤務先に連絡すると決めておいてください。
一つ、負担が減った点があります。出生を理由とする届出の場合、被保険者と子ども双方のマイナンバーが届書に記載されていれば、続柄を確認するための添付書類(戸籍謄本など)は不要とされています。書類集めに走らなくて済みます。
日本年金機構「従業員が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20141202.html
国民健康保険の場合(自営業など)
住んでいる市区町村の窓口で、出生から14日以内が原則です。出生届と同じ日に、同じ役所で済ませられます。
母子健康手帳と、世帯主名義の口座が分かるものを持ってくるよう案内している自治体が多いです。持ち物は事前に確認してください。
⚠️ 注意点があります。届出が遅れると、給付は届け出た日からになるとする自治体があります。その場合、届出前にかかった医療費は全額自己負担になり得ます。ここも「早く出す」以外の対策はありません。
保険証は、今どう届くのか(ここが変わりました)
2024年(令和6年)12月2日以降、これまでの健康保険証は新しく発行されなくなりました。
つまり、これから生まれる赤ちゃんに、紙やカードの健康保険証が届くことはありません。 上の子のときとは違う、ということです。
赤ちゃんの受診で使うのは、次のどちらかになります。
| 中身 | どうやって手に入れるか | |
|---|---|---|
| マイナ保険証 | マイナンバーカードを健康保険証として使う | 赤ちゃんのマイナンバーカードを作り、保護者が保険証としての利用登録をする |
| 資格確認書 | マイナ保険証を使わない人が、代わりに窓口で出すもの | 申請しなくても交付されます。無料 |
どちらでも受診できます。 マイナンバーカードを作らないと医療が受けられない、ということではありません。
赤ちゃんのマイナンバーカードは、写真がいりません
2024年12月2日から、申請時に1歳未満の子どものマイナンバーカードには顔写真が不要になりました。赤ちゃんの証明写真を撮る必要はありません。
出生届と同時に申請できる運用の自治体が多く、その場合はカードが自宅に郵送されてきます。
※ 顔写真のないカードの有効期限は5回目の誕生日までです。
「まだ何も届いていないけれど、受診できる?」
保険の資格の確認ができないうちに受診が必要になったときは、一旦窓口で全額を支払い、あとから加入している健康保険に請求して払い戻しを受ける(療養費)という方法があります。
まずは病院の窓口で、手続き中であることを伝えてください。 対応を案内してもらえます。
なお、1か月健診そのものは健康保険の対象外(自費)なのが一般的です。健診と、病気の受診は別の話だと分けて考えてください。
厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08277.html / 同「資格確認書について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45470.html
そして、ここが起点になります
赤ちゃんの医療費の自己負担を軽くする乳幼児医療費助成は、健康保険に入っていることが前提の制度です。多くの自治体で、赤ちゃんの保険の資格が確認できるものを添えて申請します。
つまり、順番はこうなります。
出生届 → 健康保険への加入 → 資格が確認できる状態になる → 乳幼児医療費助成の申請
この助成は自治体の制度なので、名称も、対象年齢も、助成の範囲も地域でかなり違います。他の地域の人の話は、あなたの地域では当てはまりません。
→ 手続き全体の順番と期限は 出産後にやる手続き全リスト にまとめています。
ふたりで決めておくこと
この手続きは、どちらの扶養に入れるかで、動く人が変わります。 扶養に入れるほうの勤務先で手続きをするからです。
産む前に、この2つだけ確認しておいてください。
1. どちらの扶養に入れるか(原則は収入が多いほう。組合の基準も確認)
2. その人の勤務先で、何をいつまでに出すのか(必要書類と提出先の担当者)
これが決まっていれば、産まれた日に電話1本入れるだけで動き出せます。産後に「どっちだろう」から始めると、そこで数日止まります。
ここはふたりで知っておくと楽なところです。 手続きをするのは片方でも、決めるのは2人の話だからです。
注意していただきたいこと
この記事は、2026年8月時点で公表されている情報をもとに整理しています。ただし、健康保険組合ごとに認定基準や必要書類が違います。 また、保険証からマイナ保険証・資格確認書への移行にともなう運用は、変わることがあります。
乳幼児医療費助成は自治体ごとに制度が違います。
実際に手続きをするときは、勤務先・加入している健康保険・お住まいの市区町村の窓口で、最新の内容を確認してください。
まとめ
- 共働きなら、赤ちゃんは原則 年間収入が多いほうの扶養へ。差が1割以内なら届出により主に生計を維持する人のほうへ
- 健康保険組合は独自基準あり。 最後は勤務先に確認
- 会社員・公務員は 事実発生から5日以内に事業主経由で届出。国民健康保険は 市区町村へ14日以内
- 紙の保険証はもう発行されません。 赤ちゃんはマイナ保険証か、申請不要で届く資格確認書を使います
- 1歳未満のマイナンバーカードは顔写真不要で、出生届と同時に申請できる自治体が多い
- 健康保険が乳幼児医療費助成の起点。 ここが止まると、その先が全部止まります
産む前に決めておくのは、「どちらの扶養に入れるか」だけです。それさえ決まっていれば、あとは生まれた日に勤務先へ連絡するところから、自然に進みます。
この記事について
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