夜中の授乳がつらいので、まとめて作っておけないか。
外出前に作って、保温しておけないか。
⚠️ この2つには、はっきりした答えがあります。
厚生労働省が公開している、FAOとWHOが共同で作ったガイドラインです。そこに書かれていることだけをお伝えします。
結論
- ⚠️ 調乳後2時間以内に使わなかったミルクは捨てる
- ★ 作り置きするなら、⚠️ 5℃以下の冷蔵で、24時間まで
- ⚠️ 冷蔵できないなら、作り置きはできません。毎回作って、すぐ飲ませる
- ⚠️ 温め直しは15分を超えない
- ⚠️ 電子レンジは「絶対に使用してはいけない」と書かれています
- ★ ⚠️ 「温かいまま置いておく」は、ガイドラインの選択肢に入っていません
なぜ2時間なのか
理由は単純です。作ったあとのミルクが、菌にとって育ちやすい状態だからです。
調乳された PIF は有害細菌の増殖に理想的な条件となるため、授乳の都度、PIF を調乳し、すぐに授乳することが最善である— FAO/WHO共同ガイドライン(厚生労働省 邦訳)
※PIF=粉ミルクのことです。
だから、調乳の手順の最後にはこう書かれています。
調乳後2時間以内に使用しなかったミルクは捨てましょう— 厚生労働省「哺乳ビンを用いた粉ミルクの調乳方法」
⚠️ もったいなく感じますが、ここは決まっています。
作り置きは「できる」。ただし条件つき
まとめて作ること自体は、否定されていません。⚠️ 条件が決まっているだけです。
| 保存する場所 | ⚠️ 5℃以下の冷蔵庫 |
| 保存できる時間 | 24時間まで |
| 容器 | ⚠️ 大きな容器はだめ。冷え方が足りず、菌が増えることがある |
| ⚠️ 冷蔵できないとき | 作り置きはできません |
最後の行が、いちばん見落とされます。
冷蔵が不可能な場合は、毎回調乳して直ちに授乳すべきである。後の使用のために事前に準備しておくことはできない— FAO/WHO共同ガイドライン(厚生労働省 邦訳)
⚠️ 「常温で置いておく」という選択肢は、はじめから無いということです。
★ここが本題:保温はどうなのか
ミルクウォーマーや保温ポットで温かいまま保っておく——これがいちばん聞かれるところだと思います。
⚠️ ガイドラインに、その選択肢はありません。
書かれているのは、この2つだけです。
- 作ったら、すぐ飲ませる(2時間以内)
- すぐ飲ませないなら、5℃以下まで冷やす
つまり⚠️ 「熱くもなく、冷たくもない状態で置いておく」のは、いちばん避けたい状態にあたります。菌が育ちやすいのは、まさにその温度帯だからです。
だからガイドラインでは、作ったあとすぐに冷やすよう書かれています。
混ざったら、直ちに流水をあてるか、冷水又は氷水の入った容器に入れて、授乳できる温度まで冷やします— 厚生労働省「哺乳ビンを用いた粉ミルクの調乳方法」
⚠️ ミルクウォーマーが悪い道具、という話ではありません。 飲ませる直前に温めるのなら、ガイドラインの「温め直し」にあたります。⚠️ 問題は「作ってから何時間も温かいまま置くこと」です。
道具そのものの選び方はミルクウォーマーは本当にいらない?にまとめています。
温め直しのルール
冷蔵しておいたものを温めるときは、こうです。
1. ⚠️ 必要になる直前に、冷蔵庫から出す
2. ⚠️ 15分を超えて温め直さない
3. ふたをして、ときどき振ってむらなく温める
4. 腕の内側に垂らして、温度を確かめる
5. ⚠️ 温め直して2時間以内に飲まなかったら、全部捨てる
15 分を超える再加温をしない— FAO/WHO共同ガイドライン(厚生労働省 邦訳)
⚠️ 電子レンジは使わないでください
ここは強い言葉で書かれています。
電子レンジは、加熱が不均衡で、一部に熱い部分(「ホット・スポット」)ができ、乳児の口に火傷を負わす可能性があるので、温め直しには絶対に使用してはいけない— FAO/WHO共同ガイドライン(厚生労働省 邦訳)
⚠️ 見た目の温度と、中の温度が違うのが理由です。振っても、部分的に熱いところが残ります。
外出先で温めたいときの方法は外出先で缶ミルクを温める方法7選にまとめました。
持ち歩くとき
作ったミルクを持ち出す場合も、考え方は同じです。
- 2時間以内に飲ませるなら:作って、すぐ持って出る
- ⚠️ 2時間を超えるなら:冷蔵して、冷たいまま持ち運び、現地で温め直す
- ⚠️ 30分以上かかるなら、保冷バッグを使う
⚠️ 温めた分・飲み残しは、冷蔵庫に戻せません。
温めた粉ミルクや残った粉ミルクは、冷蔵庫にはもどさず、2 時間以内に使用されない場合は廃棄する— FAO/WHO共同ガイドライン(厚生労働省 邦訳)
外出時は、⚠️ お湯と粉を別々に持って現地で作るほうが、結果的に楽で安全です。→ 調乳用水筒と普通の水筒の違い
作るときの温度も決まっています
ついでに、作るときの話も。
湯は70℃以上に保ち、沸かしてから30分以上放置しないようにします— 厚生労働省「哺乳ビンを用いた粉ミルクの調乳方法」
⚠️ 「沸かしてから30分以上放置しない」のほうが見落とされます。朝に沸かしたポットのお湯を夜まで使う、という使い方は想定されていません。
ポットやケトルの選び方はミルク作りにポットとケトルはどっちが便利?にまとめています。
よくある質問
Q. 夜中の分を、寝る前に作っておきたいのですが。
A. ⚠️ 5℃以下で冷蔵すれば、24時間まで保存できます。飲ませるときに15分以内で温め直します。⚠️ 常温に置いておくことはできません。
Q. 飲み残しはどうすればいいですか。
A. ⚠️ 捨ててください。冷蔵庫には戻せません。
Q. 2時間を1分でも過ぎたらだめですか。
A. ガイドラインの線は2時間です。⚠️ 迷う時間があるなら、捨てて作り直すほうが早いです。
Q. 保温ポットのお湯で作るのはだめ?
A. ⚠️ 70℃以上に保たれていて、沸かしてから30分以内であれば、条件を満たします。保温設定の温度を確認してください。
Q. 液体ミルクなら作り置きできますか。
A. 液体ミルクは開封前なら常温で保存できます。⚠️ ただし開けたあとは、粉ミルクと同じ考え方になります。製品の表示に従ってください。
Q. 哺乳瓶の消毒はいつまで必要ですか。
A. 消毒方法の違いはチュチュベビー「つけるだけ」とミルトンの違いにまとめています。
まとめ
- ⚠️ 調乳後2時間で捨てる。もったいなくても、ここは決まっています
- 作り置きは⚠️ 5℃以下・24時間まで。⚠️ 冷蔵できないならできません
- ★ ⚠️ 「温かいまま置く」はガイドラインに無い選択肢。作ったらすぐ冷やす
- ⚠️ 温め直しは15分以内、温め直して2時間で廃棄
- ⚠️ 電子レンジは「絶対に使用してはいけない」
- ⚠️ 作る湯は70℃以上、⚠️ 沸かしてから30分以上放置しない
作り置きをしてきた方も多いと思います。⚠️ これまでを責める話ではありません。 ただ、冷やすか、すぐ飲ませるか——そこだけ覚えておけば、あとは自然に守れます。
この記事について
この記事はイクジヒロバが公開したものです。運営:やすぴ。内容は厚生労働省が公開するFAO/WHO共同作成のガイドライン(邦訳)にもとづいて記載しています。⚠️ 製品ごとの表示がある場合は、そちらに従ってください。 体調に関する判断は医療機関にご相談ください。運営者・監修者のプロフィールは運営者情報をご覧ください。
厚生労働省「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」(FAO/WHO共同作成・邦訳) https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/070604-1.html
厚生労働省「哺乳ビンを用いた粉ミルクの調乳方法」 https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/dl/070604-1a.pdf


