赤ちゃんがNICUに入ることになった。
説明を聞いて、書類を渡されて、頭が回らないまま病院と家を往復している。そんなときに「医療費はどうなるんだろう」と気づく方が多いです。
先にお伝えします。
⚠️ まだ申請できていなくても、大丈夫です。 この給付は、⚠️ 入院した日にさかのぼって適用されます。
結論
- 未熟児養育医療給付という制度があります。⚠️ 入院医療費の自己負担分が対象です
- ★ ⚠️ 申請が遅れても、給付は「医療を始めた日」にさかのぼります
- 手続きをするのは市区町村(都道府県ではありません)
- ⚠️ 医師が書く「養育医療意見書」が要ります。ここは病院にお願いします
- ★ ⚠️ 転院などの「移送」も給付の範囲に入っています
- ⚠️ 指定を受けた病院での医療が対象です
★まず、いちばん不安なところ
「申請が遅れたら、その分は自己負担になるのでは」
なりません。
国の実施要綱に、こう書かれています。
その始期は、当該指定養育医療機関による当該医療開始の日にさかのぼる— 厚生労働省「未熟児養育事業の実施について」実施要綱
⚠️ 医療券の効力は、入院した日まで戻ります。
さらに、すぐに出せない場合のことまで書かれています。
やむを得ない理由で医療券を提出できない場合は、取りあえず医療を行い、その理由がなくなった後、すみやかに、医療券を提出させること— 厚生労働省「未熟児養育事業の実施について」実施要綱
⚠️ 「先に医療を受けて、あとから出す」ことが想定されています。
だから、今日できなくても大丈夫です。 落ち着いてからで間に合います。
⚠️ ただし、自治体によって申請の締め切りの運用が違います。「退院までに」としているところもあります。お住まいの市区町村に、一度だけ電話で聞いておくと安心です。
どういう制度か
母子保健法にもとづく、市町村の給付です。
市町村は、養育のため病院又は診療所に入院することを必要とする未熟児に対し、その養育に必要な医療の給付を行い、又はこれに代えて養育医療に要する費用を支給することができる— 母子保健法 第20条第1項
⚠️ 窓口は市区町村です。 保健センターや子育て支援課が担当していることが多いです。
対象になるのは
実施要綱に、2つの入口が示されています。
① 出生時の体重
出生時体重二、〇〇〇グラム以下のもの— 厚生労働省 実施要綱
② 医師が、入院しての養育が必要と認めた場合
体重が2,000gを超えていても、⚠️ 医師の判断で対象になります。
要綱には、一般状態・体温・呼吸器や循環器の状態・消化器の状態・黄疸といった項目が挙げられています。
⚠️ ここは医師が判断する部分です。 当てはまるかどうかを自分で判断する必要はありません。主治医か、病院のソーシャルワーカーに「養育医療の対象になりますか」と聞いてください。
なお法律上の「未熟児」は、次のように定義されています。
身体の発育が未熟のまま出生した乳児であつて、正常児が出生時に有する諸機能を得るに至るまでのもの— 母子保健法 第6条第6項
★見落とされやすい:移送も対象です
給付の範囲は、法律に列挙されています。
一 診察/二 薬剤又は治療材料の支給/三 医学的処置、手術及びその他の治療/四 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護/五 移送— 母子保健法 第20条第3項
⚠️ 五番目に「移送」が入っています。
NICUのある病院へ搬送された、途中で転院した——そうした移送にかかる費用も、給付の範囲に含まれます。
⚠️ 実際に出るかどうかは自治体の運用によります。 搬送があった場合は、⚠️ 申請のときに必ず伝えてください。 言わないと出てこない費用です。
お金の仕組み
ここは少しややこしいので、順番に。
| ① まず | 健康保険が使われます |
| ② その残り | ⚠️ 自己負担分が、養育医療の対象です |
| ③ さらに | ⚠️ 世帯の所得に応じて自己負担(徴収金)が決まります |
| ④ 多くの自治体で | ⚠️ 乳幼児医療費助成と組み合わせて、実質の負担がほぼ無くなることがあります |
保険が優先されることは、要綱に明記されています。
本人が医療保険各法の被扶養者等である場合は、医療保険各法による医療の給付が優先すること。したがって、養育医療の給付は、いわゆる自己負担分を対象とするものであること— 厚生労働省 実施要綱
⚠️ ④は自治体によって大きく違います。 断定できません。市区町村に確認してください。
なお⚠️ 赤ちゃんを健康保険に入れる手続きが先に要ります。 そちらは赤ちゃんの健康保険はどっちの扶養に入れる?にまとめています。
⚠️ 病院が「指定」を受けている必要があります
養育医療の給付は、都道府県知事が指定する病院若しくは診療所又は薬局(指定養育医療機関)に委託して行う— 母子保健法 第20条第4項
⚠️ どの病院でもいいわけではありません。
とはいえ、⚠️ NICUのある病院は指定を受けていることがほとんどです。 心配な場合は病院に確認すれば、すぐ分かります。
手続きの流れ
⚠️ 必要なものは自治体によって少しずつ違います。 下は共通してよく求められるものです。
1. 市区町村の窓口に連絡する(保健センター・子育て支援課など)
2. ⚠️ 病院に「養育医療意見書」を書いてもらう(医師が書く書類です)
3. 申請書と一緒に提出する
4. 医療券が交付される
要綱にも、意見書の添付が明記されています。
医師の記載した養育医療意見書及びその他必要とする関係書類を必ず添付させること— 厚生労働省 実施要綱
⚠️ 意見書は病院にお願いする書類なので、早めに依頼だけしておくと流れがよくなります。
そのほか、健康保険証・世帯の課税状況が分かるもの・母子健康手帳などを求められることが多いです。何が要るかは、最初の電話でまとめて聞いてしまうのが早いです。
よくある質問
Q. 退院してから申請しても間に合いますか?
A. ⚠️ 給付そのものは医療開始の日にさかのぼります。 ただし⚠️ 自治体が申請の期限を定めていることがあるので、市区町村に確認してください。
Q. 2,000gを少し超えていました。対象外ですか?
A. ⚠️ 体重だけでは決まりません。医師が入院しての養育が必要と認めた場合も対象です。主治医に確認してください。
Q. 里帰り出産で、住民票と病院が別の県です。
A. 手続きは⚠️ 住民票のある市区町村です。病院の場所ではありません。
Q. 双子で、二人とも入院しています。
A. ⚠️ 一人ずつ申請します。意見書もそれぞれ必要です。
Q. きょうだいの上の子の医療費とは別ですか?
A. 別の制度です。乳幼児医療費助成とは仕組みが違います。
Q. 保険証がまだ届いていません。
A. ⚠️ まず保険の加入手続きを進めてください。窓口で事情を伝えれば、進め方を案内してもらえます。
まとめ
- 未熟児養育医療給付=入院医療費の自己負担分を対象とする、市区町村の制度
- ★ ⚠️ 申請が遅れても、給付は医療開始の日にさかのぼります
- ⚠️ 医師の「養育医療意見書」が必要。⚠️ 早めに依頼だけしておく
- ★ ⚠️ 移送(搬送・転院)も給付の範囲。搬送があったら必ず伝える
- ⚠️ 指定養育医療機関での医療が対象(NICUのある病院はほぼ指定済み)
- ⚠️ 自己負担の額・申請期限・乳幼児医療費助成との組み合わせは自治体差が大きい
赤ちゃんが入院していると、書類のことまで手が回りません。
⚠️ それでも大丈夫なように、制度のほうが「さかのぼる」形で作られています。 落ち着いたときに、市区町村へ一本電話をしてください。それで足ります。
出産後の手続き全体は出産後の手続き全リストに、出産費用そのものは出産育児一時金は50万円にまとめています。
この記事について
この記事はイクジヒロバが公開したものです。運営:やすぴ。制度の内容は母子保健法および厚生労働省の実施要綱をもとに記載しています。⚠️ 対象になるかどうかの判断は医師が行います。また自己負担額・申請期限・必要書類は市区町村ごとに異なります。 必ずお住まいの市区町村と、かかっている病院にご確認ください。運営者・監修者のプロフィールは運営者情報をご覧ください。
母子保健法(第6条・第20条) https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000141
厚生労働省「未熟児養育事業の実施について」(昭和62年7月31日児発第668号)実施要綱 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta9644&dataType=1&pageNo=1


