産休が終わったあと、育休のあいだの収入を支えるのが 育児休業給付金 です。
「給料の67%」とよく言われます。ただ、実際に受け取る段になると、思っていた額と違うという声が多い制度でもあります。
理由は3つあります。
- 途中で67%から50%に下がる
- 上限がある
- 産後休業の8週間は、そもそも対象外
そしてもう一つ。2025年4月から、延長の条件がはっきり厳しくなりました。 保育園に入れなければ延長できる——その理解のままだと、通らないことがあります。
順に整理します。
結論:先に押さえる5つ
- 対象は1歳未満の子を養育するための育児休業。2回まで分割できます
- ⚠️ 産後休業(出生の翌日から8週間)は対象外です。そこは出産手当金の期間になります
- 給付率は 67%。ただし育休開始から181日目以降は50%に下がります
- ⚠️ 上限があります。休業開始時賃金日額の上限は16,540円(令和9年7月31日までの額)
- ⚠️ 2025年4月から、延長には「速やかに職場復帰する意思」の確認が加わりました
⚠️ まず、産後休業の8週間は対象外です
ここを勘違いすると、収入の計画がずれます。
出産の翌日から8週間は「産後休業」で、育児休業給付金の対象になりません。この期間を支えるのは、健康保険の出産手当金です。
| 時期 | 制度 | 出どころ |
|---|---|---|
| 産前42日〜産後56日 | 出産手当金 | 健康保険 |
| 産後57日〜 | 育児休業給付金 | 雇用保険 |
⚠️ 産後6週間を過ぎて本人が請求し、8週間より前に産後休業を終えた場合でも、8週間を経過するまでは産後休業とみなされます。
出産手当金のほうは、こちらにまとめています。→ 出産手当金はいくら?
もらえる人の条件
主に4つです。
1. 1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した被保険者であること(2回まで分割可)
2. 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上あること(11日に満たない月は、賃金の基礎となった時間数が80時間以上であればよい)
3. 一支給単位期間中の就業日数が10日以下であること(10日を超える場合は、就業した時間数が80時間以下)
4. (有期雇用の場合)子が1歳6か月に達する日までに、労働契約の期間が満了することが明らかでないこと
⚠️ 2番が引っかかりやすいところです。転職直後や、入社まもない時期の出産では届かないことがあります。
⚠️ なお、3回目以降の育児休業は原則として給付の対象外です(配偶者の死亡・負傷、子の疾病など、限られた例外はあります)。
いくらもらえるか
計算式はこうです。
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休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%
(育休開始から181日目以降は 50%)
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「休業開始時賃金日額」は、育休開始前(産休を取った場合は原則として産休開始前)の直近6か月の賃金の総額を180で割った額です。
⚠️ 181日目で下がります
ここが見落とされがちです。育休開始から180日目までが67%、181日目からは50%。
⚠️ さらに、産後パパ育休(出生時育児休業給付金)で支給された日数は、この180日に通算されます。
上限と下限(令和9年7月31日までの額)
| 上限 | 下限 | |
|---|---|---|
| 休業開始時賃金日額 | 16,540円 | 3,203円 |
| 支給日数30日・給付率67% | 332,454円 | 64,380円 |
| 支給日数30日・給付率50% | 248,100円 | 48,045円 |
⚠️ 毎年8月1日に改定されます。
休業中に給与が出た場合
3段階に分かれます。
| 会社から支払われた賃金 | 給付金 |
|---|---|
| 「日額×日数」の13%以下(181日目以降は30%以下) | 満額もらえます |
| 13%超〜80%未満 | 「日額×日数×80%」から賃金を引いた額 |
| 80%以上 | 支給されません |
⚠️ 「少しでも給与が出たらゼロ」ではありません。ただし80%が天井です。
厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」2026(令和8)年8月1日改訂版 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001461102.pdf
★2025年4月から、延長が厳しくなりました
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
保育所に入れないなどの理由があれば、1歳6か月まで、さらに2歳まで延長できます。これは変わっていません。
変わったのは、その申請に条件が足されたことです。
⚠️ 「速やかに職場復帰する意思があるか」を、ハローワークが確認するようになりました。子が1歳(または1歳6か月)に達する日が2025年4月1日以後の方が対象です。
通らなくなったケース
厚生労働省の資料に、はっきり書かれています。
① 申し込んでいない
⚠️ 「どうせ入れないから」と申し込まなかった場合は、延長できません。 入所申込日が、子が1歳(または1歳6か月)に達する日までの日付である必要があります。
② 遠い園にしか申し込んでいない
⚠️ 入れそうにない遠い園だけに出す、という形は通りません。ただし、通勤経路の途中にある、30分未満の園が無い、開所時間が勤務時間に合わない、といった合理的な理由がある場合は認められます。
③ 申込書に「延長したい」と書いている
⚠️ ここがいちばん重要です。自治体の入所申込書には、こうした欄があることがあります。 そこに印を付けると、延長が認められなくなります。
④ 内定を辞退した
⚠️ 「やむを得ない理由」とは、申込時点と内定時点で住所や勤務場所が変わり、入所させられなくなった場合などを指します。
つまり、どういうことか
「延長するつもりで申し込む」が、通らなくなりました。
以前は、入所保留通知書があれば延長できました。いまはその通知書に至る過程まで見られます。
⚠️ 延長するには、市区町村の申込期限に間に合わせて、通える範囲の園に、実際に入る意思をもって申し込む必要があります。申込期限に間に合わなかった場合、それだけで対象外です。
ここは、ふたりで確認しておいたほうがいい部分です。 申込書の書き方ひとつで、半年〜1年分の給付が変わります。
「手取り10割」になる期間もあります
2025年4月から、出生後休業支援給付金という上乗せができました。13%が加算され、合計80%になります。給付金は非課税で社会保険料も免除されるため、手取りでは10割相当になります。
⚠️ ただし母親が受け取るには、配偶者(父親)が一定の期間内に14日以上の育児休業を取っていることが条件です。
⚠️ 逆に父親が申請する場合は、母親の育休取得は条件になりません(母親は産後休業中のため)。同じ制度でも、どちらが申請するかで条件が変わります。→ 産後パパ育休は「手取り10割」になる?
28日分の上限は 60,205円、下限は 11,658円です。
よくある質問
Q. 育休中に少し働いてもいいですか?
A. ⭕ 一支給単位期間の就業日数が10日以下(超える場合は80時間以下)なら対象のままです。⚠️ ただし賃金の額によって給付が減ります。
Q. 2回に分けて取れますか?
A. 取れます。⚠️ 3回目以降は原則として対象外です。
Q. パパ・ママ育休プラスとは?
A. 夫婦で取得する場合に、1歳2か月まで期間が延びる仕組みです。
Q. いつ振り込まれますか?
A. ⚠️ 申請後の支給決定を経てからで、育休に入ってすぐではありません。当面の生活費は手元に用意しておいてください。
Q. 自営業やフリーランスでも使えますか?
A. 使えません。⚠️ 雇用保険の制度なので、被保険者でない方は対象外です。→ 自営業・フリーランス・経営者に育休はない?
Q. 時短勤務で復帰したら、収入が下がります。
A. 2025年4月から育児時短就業給付金という制度が始まっています。⚠️ 要件と金額は厚生労働省または勤務先にご確認ください。
まとめ
- 対象は1歳未満の子。2回まで分割可。⚠️ 産後休業の8週間は対象外
- 給付率 67%、⚠️ 181日目以降は50%(産後パパ育休の日数も180日に通算)
- 上限は日額16,540円、30日で 332,454円(67%のとき)/令和9年7月31日までの額
- 会社から賃金が出ても、13%以下なら満額。80%以上だと支給なし
- ⚠️ 2025年4月から、延長には「速やかに職場復帰する意思」の確認が加わりました
- ⚠️ 申し込んでいない/遠い園だけ/申込書に「延長希望」と記載/内定辞退 — これらは通りません
制度は手厚くなっている一方で、延長の入口は狭くなりました。保育園の申込書を書く時点で結果が決まってしまうので、そこだけは早めに確認しておいてください。
この記事について
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