歯固めを「生後◯か月から使ってよい」と決められる根拠は、探しても見つかりませんでした。
公的機関にも、学会にもありません。⚠️ こちらで探した範囲では見つけられませんでした。だからこの記事は、「いつから」に数字で答えません。
代わりに、分かっていることだけを書きます。日本小児歯科学会が全国8,724人の子どもを調べた2019年の報告では、いちばん最初に生える下の前歯の萌出月齢は平均6.8〜7.5か月、実際の幅は生後3か月から14か月まで開いていました。子どもによって11か月ぶれます。
⚠️ ただしこれは「歯が生える時期」の調査であって、「歯固めを使ってよい時期」の調査ではありません。この2つを結びつける資料が無いというのが、今回いちばんはっきりしたことでした。
結論
- ⚠️ 「歯固めをいつから使ってよいか」を示した資料は、公的機関にも学会にも見つかりませんでした
- ⚠️ こちらで探した範囲では、根拠が見つけられませんでした。 だからこの記事は「生後◯か月から」と書きません
- 分かっているのは、最初の歯が生える時期のほうです。学会の実測(8,724名)で下の前歯は平均6.8〜7.5か月・幅は生後3〜14か月
- ⚠️ それは「歯が生える時期」であって「歯固めを使ってよい時期」ではありません
- 「まだ生えない」は、それだけでは遅れとは言えません。 実測の上限は14か月です
- 検索上位5本の「いつから」は生後3か月〜10か月までバラバラで、5本とも出典の記載がありません(どれが正しいかは、この記事では判定しません)
- 選ぶときに見る数字は月齢ではなくサイズ。誤飲の公的な目安は口径39mm・のどの奥51mm
- 消毒は毎回使うたび、というほどではありません(助産師さくら)
- ⚠️ 歯固めにはSGマークの品目そのものがありません。 よりどころは食品衛生法の規格基準です
- この分野の所管は2024年(令和6年)4月から消費者庁に移りました。厚生労働省ではありません
「いつから使ってよいか」は、この記事でも答えを出せませんでした
先に、いちばん物足りないところを書いておきます。
歯固めの開始時期を示した資料を、公的機関と学会の範囲で探しました。見つかりませんでした。 見つかったのは「最初の歯が生えるのはいつか」という調査で、これは「歯固めをいつから口に入れてよいか」を調べたものではありません。
⚠️ この橋渡しをしてよいかどうかは、現時点で判断できていません。(当サイトの監修者にも確認を進めています)
だから当サイトの答えとして「生後◯か月から」は書きません。⚠️ 月齢を1つ選んで書いてしまえば、根拠のない数字がまた1つ増えるだけだからです。次の章で見るとおり、上位で実際に起きているのがそれです。
歯固めを買うかどうかの判断は、月齢よりも「よだれが増えた」「手やものを口に入れる」といった目の前の様子と、大きさが安全かどうか(後述の39mm)で決めるほうが、確かめられる材料が多くなります。
上位5本の答えは、生後3か月から10か月までバラバラでした
「歯固め いつから」で上位に出てくる5本を実際に読みました。
| 順位 | サイトの種類 | 書かれている「いつから」 | 出典の記載 |
|---|---|---|---|
| 1 | 写真スタジオのコラム | 生後6〜10か月ごろが一般的/早い場合4か月 | なし |
| 2 | 歯科医院のブログ | 生後6か月ごろ | なし |
| 3 | 歯科医院(院長監修の表記あり) | 生後3〜4か月ごろから使用OK | なし |
| 4 | ベビー用品店 | 生後6か月以降が目安 | なし |
| 5 | 情報サイト | 生後4〜6か月頃/3か月以前は避ける | なし |
★ 監修の表記がある3位が「3〜4か月から使ってOK」、5位が「3か月以前は避ける」。 同じ時期を、片方は勧め、片方は避けろと書いています。
上から3本読むと、答えが3つ出てきます。そして5本とも、その月齢がどこから来た数字なのかを示していません。 1位も「乳歯が生え始める少し前ぐらいから使うとよいといわれています」と、伝聞の形で終わっています。
⚠️ どれが正しいのかを、この記事では判定しません。 判定できる材料がこちらにも無いためです。ここで言えるのは、5本のどれも根拠を示していないという事実だけです。
最初の歯が生えるのは、生後3か月から14か月まで
数字の出どころがある資料は、今回ひとつだけ見つかりました。日本小児歯科学会ほかによる8,724名(3か月〜3歳11か月)の調査です。
| 生える歯 | 生えた月齢の幅 | 平均 |
|---|---|---|
| 下の前歯(いちばん最初に生える歯) | ★ 3〜14か月 | 6.8〜7.5か月 |
| 上の前歯 | 4〜14か月 | 8.9〜9.4か月 |
★ 下の前歯の幅は、11か月あります。 生後3か月で生える子も、14か月で生える子も、同じ調査のなかにいました。
生える順番も報告されていて、最初が下の前歯、次が上の前歯です。歯の様子を見るなら、見る場所は下の歯ぐきになります。
⚠️ この表は「歯が生えた時期」です。 ここから「だから歯固めは◯か月から」とつなげることは、この記事ではしません。つなげてよいかを確かめる資料が無いためです。
★ この報告は集計表が2つに分かれていますが、その分け方が何によるものかを今回確認できなかったため、この記事では2つの表の幅と平均をそのまま並べています。
「まだ生えていない」だけでは、遅れとは言えません
「6か月から」と書いてある記事を読んだあとに、7か月でまだ0本だと不安になります。でも、上の表の上限は14か月です。1歳で1本も生えていない子は、この調査の範囲の内側にいます。
⚠️ ただし「いつまで様子を見ていいか」の数字は、この記事では出しません。 受診や相談の目安を月齢で示した資料が見つからなかったためです。
気になるときに聞ける場として、乳児健診があります。 健診は何を見ている場なのかを乳児健診は何を見ている?にまとめています。
「歯ぐずり」は、公的な資料では確かめられませんでした
上位が当たり前のように書いている「歯ぐずり」(歯が生えるときの不快感で機嫌が悪くなる現象)について、日本の学会や公的機関がその存在や頻度を示した資料は、見つけられませんでした。
そのうえで、監修の助産師さくらの言葉として書きます。
「噛んでいると落ち着くように見える子はいます。公的な資料はありませんが、子育ての中では実際にあることです」(助産師さくら)
★ つまり「歯ぐずりという現象が証明されている」のではなく、「噛んでいると落ち着く子がいる」という現場の実感がある、というところまでです。落ち着かないときに、原因を歯だけに寄せる必要はありません。
買うのは「予定日」ではなく、赤ちゃんの様子を見てから
月齢で決められない以上、カレンダーから逆算して買う理由はありません。 よだれが増えた、手やものを口に入れるようになった——上位の記事が共通して挙げているのはこのあたりです。
⚠️ ただし、そのサインが「歯が生える前ぶれ」だと示した公的な資料も、今回は見つけられませんでした。 買うきっかけとしては使えても、根拠のある予測ではありません。
書けないことも先に書いておきます。
- ❌ 「歯固めを使うと歯並びがよくなる」「あごが発達する」 — 上位に出てきますが、出典がありません。 効果としては書けません
- ❌ やめどき — 上位でも「1歳ごろ」から「24か月まで」と幅があります。⚠️ 出典のある資料を見つけられなかったため、どこで区切るかは書きません
離乳が進む時期と重なって迷いやすいところなので、そちらは離乳食が3回になっても授乳は続くもあわせてどうぞ。
選ぶときに見る数字は、月齢ではなく39mm
月齢の代わりに見る数字があります。大きさです。
3歳の赤ちゃんが口を開けたときの最大口径は約39mm、のどの奥までは約51mmあります— 日本家族計画協会「誤飲チェッカー」
赤ちゃんが5か月になったら、誤飲チェッカーでチェックしましょう— 日本家族計画協会「誤飲チェッカー」
⚠️ 上位5位の記事は「直径4cm未満はNG」と書いていますが、根拠が示されていないうえ、数字も公的な目安とずれています。 覚えるなら39mm(口の幅)/51mm(のどの奥まで)のほうです。
歯固めは本体だけでなく、リングから外れる飾り、ビーズ、チェーンの留め具のような小さい部品がついていることがあります。見るのはそちらです。
チェッカーの中に隠れるものは、床から1m以上の高さに置きましょう— 日本家族計画協会「誤飲チェッカー」
家の中のどこに何が落ちているかは赤ちゃんの誤飲・窒息にまとめています。
消毒は、毎回使うたび、というほどではありません
上位は煮沸・食洗機・消毒液と方法を並べていますが、どこからが神経質になりすぎなのかは書かれていません。ここは監修の助産師さくらに聞きました。
「始める月齢にもよりますが、毎回使うたび、というほどではありません。半年くらいを過ぎると、おもちゃを毎回消毒して、という段階ではないので、そこまで気にしすぎなくていいです」(助産師さくら)
★ 目安になるのは回数ではなく時期です。ごく早い時期から使うなら気をつける度合いは上がり、半年を過ぎたころには、床に落ちたら洗う・汚れたら洗う、で足ります。
⚠️ 煮沸や食洗機に対応しているかは、製品と素材によって違います。 シリコーン・木・布で扱いが変わるので、方法はお手元の製品表示にしたがってください(木製を煮沸すると割れることがあります)。
歯固めは、法律上は「おもちゃ」です
上位5本のどれも触れていない点です。歯固めは、食品衛生法の規格基準がかかる製品にあたります。
第七十八条 法第六十八条第一項に規定するおもちやは、次のとおりとする。— 食品衛生法施行規則 第78条
その第一号が、これです。
一 乳幼児が口に接触することをその本質とするおもちや— 食品衛生法施行規則 第78条第1号
⚠️ 条文に「歯固め」という言葉は出てきません。 この定義に当てはまる製品だ、というところまでです。そしてこの条文は規格基準の対象範囲を決めているだけで、個々の商品の安全を保証するものではありません。
もうひとつ。乳幼児用品のSGマークには、「歯固め」も「おしゃぶり」も品目が存在しませんでした。 掲載されている26品目(ベビーカー、乳幼児用歩行器、乳幼児用ベッド、抱っこひも、乳幼児用ハイチェア など)を実際に開いて確認しています。⚠️ 「SG基準に適合」という形の見分け方は、歯固めには使えません。
※ STマーク(日本玩具協会)が歯固めをどう扱っているかは、今回確認できませんでした。 分かった時点で追記します。
問い合わせ先も、古い記事のままだとずれます。
令和6年4月1日に、食品衛生基準行政は、厚生労働省から消費者庁に移管されました。施策の内容については、消費者庁にお問い合わせください。— 厚生労働省
この記事のまとめ
- ⚠️ 「歯固めをいつから使ってよいか」の根拠は、公的機関にも学会にも、監修者にも見つかりませんでした。 だから数字で答えていません
- 分かっているのは歯が生える時期のほう。学会の実測(8,724名)で下の前歯は平均6.8〜7.5か月・幅は生後3〜14か月。11か月ぶれます
- ⚠️ それは「歯が生える時期」であって「歯固めを使ってよい時期」ではありません
- 「まだ生えない」はそれだけでは遅れとは言えません。 上限は14か月
- 上位5本の「いつから」は3か月〜10か月でバラバラ、5本とも出典なし。監修つき同士でも食い違っています
- 「歯ぐずり」の公的資料は見つかりませんでした。噛んでいると落ち着くように見える子はいる、という現場の実感まで
- 見る数字は39mm(口径)/51mm(のどの奥)。⚠️ 「4cm」は公的な目安ではありません
- 消毒は毎回でなくてかまいません(助産師さくら)。半年を過ぎればなおさら
- ⚠️ SGマークに歯固めの品目はありません。 よりどころは食品衛生法の規格基準(施行規則78条1号)
- 所管は2024年4月から消費者庁
この記事について
文=やすぴ(イクジヒロバ 運営者)。医療・安全に関わる部分は、助産師さくらが内容を確認しています。内容は日本小児歯科学会ほかの調査報告、食品衛生法施行規則、厚生労働省および日本家族計画協会の公表資料にもとづき、2026年(令和8年)9月8日時点で記載しています。
⚠️ 歯の生え方には大きな個人差があります。この記事は目安を示すもので、個別の診断や医療的な判断に代わるものではありません。 気になることがあるときは、健診や小児科・小児歯科でご相談ください。運営者・監修者のプロフィールは運営者情報をご覧ください。
日本小児歯科学会ほか「日本人小児における乳歯・永久歯の萌出時期に関する調査研究Ⅱ ──その1.乳歯について──」小児歯科学雑誌 57(1): 45-53, 2019年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspd/57/1/57_45/_article/-char/ja/
e-Gov法令検索「食品衛生法施行規則」(法令ID 323M40000100023)第78条 laws.e-gov.go.jp
厚生労働省(食品用器具・容器包装) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/kigu/index.html
一般社団法人 日本家族計画協会「誤飲チェッカー」 https://www.jfpa.or.jp/mother_child/prevent/002.html
製品安全協会 SGマーク 乳幼児用品の品目一覧 https://www.sg-mark.org/product-cat/baby-and-kids-goods/


