結果が出て、預け先が決まらないまま復帰の日が近づいている。そういう状況を想定して、使える選択肢と申込先を整理します。
結論:預け先は1つではない
認可保育所のあとに残る窓口は、ひとつではありません。ただし申込先が別々で、空きの出方も別です。別々に当たるものだと捉えると動きやすくなります。
選択肢の一覧(何が使えるか早見表)
| 預け先 | 申込先 | 性格 |
|---|---|---|
| 一時預かり事業(一時保育) | 実施施設または市区町村 | 施設が預かる |
| ファミリー・サポート・センター | 市区町村のセンター | 会員同士をつなぐ |
| 認可外保育施設・企業主導型保育 | 施設に直接 | 施設と直接契約 |
| 幼稚園の預かり保育 | 園に直接 | 園が預かる |
| 病児保育事業 | 市区町村・実施施設 | 病気のときの別制度 |
今日から動く順番
1. 市区町村名+「一時預かり」で公式サイトを開く。 実施施設一覧・登録の要否・予約方法が載っています。
2. ファミサポの会員登録だけ先に済ませる。 登録しないと調整が始まらないからです。使うかは後で決められます。
3. 認可外保育施設・企業主導型保育に問い合わせる。 認可の申込みとは別ルートです。
4. 次の入所申し込みの受付時期を確認する。
5. 育休延長の可能性があるなら、入所申込書の写しが手元にあるか確認する。
一時預かり事業とは
施設が預かる事業(法律上の位置づけ)
「一時保育」と呼ばれるものは、児童福祉法に定めのある事業です。
この法律で、一時預かり事業とは、次に掲げる者について、内閣府令で定めるところにより、主として昼間において、保育所、認定こども園……その他の場所……において、一時的に預かり、必要な保護を行う事業をいう。— 児童福祉法 第6条の3第7項
読み取ってほしいのは、「保育所、認定こども園……その他の場所において」預かる、つまり施設側が預かる仕組みだという点です。
実施主体は市区町村。国の実施要綱には、保育所などで行う一般型のほか、幼稚園型、定員に空きがある施設で行う余裕活用型などの類型があります。子ども・子育て支援法第59条では「地域子ども・子育て支援事業」のひとつです。
どんなときに使えるか
条文が挙げているのは、家庭で保育を受けることが一時的に難しくなった乳幼児と、保護者の負担を軽くするために預かることが望ましいと認められる乳幼児の2つです。仕事だけが理由ではありません。
運用は自治体で幅があります。横浜市は乳幼児一時預かり事業を「理由を問わずお子さんをお預かりします」と案内しています(出典:横浜市)。利用理由を区分する自治体もあります。
申し込み先と、必要になりがちなもの
共通するのは、使いたい日にいきなり預けられるわけではないという点です。事前の登録や面談を求める運用が広く見られます。横浜市はWEB予約システムで面談を申し込み、利用許可を受けてから予約する流れ。福岡市は事前の利用登録と、前日までの申込み(電話可)を案内しています。先に登録を済ませておくと、必要な日に動ける構造です。
⚠️ 費用・利用できる日数は自治体で違う
ここに全国共通の相場はありません。福岡市は利用料についてこう書いています。
施設によって異なります。(実施施設一覧をご参照ください。)— 福岡市
同じ市の中でも施設ごとに違う、ということです。横浜市は同事業について「1時間あたり300円を上限に、施設ごとに設定しています」とし、児童1人につき月120時間までという上限も示しています(出典:横浜市)。
⚠️ 料金の決め方そのものが自治体で違い、減免のある自治体もあります。金額・時間・回数は必ずお住まいの市区町村の公式ページで確認してください。
ファミリー・サポート・センターとは
★預かる事業ではなく、つなぐ事業
ここがいちばんお伝えしたいところです。ファミリー・サポート・センター事業は、法律上の名前を「子育て援助活動支援事業」といい、一時預かり事業とは別の項に、別の事業として書かれています。
この法律で、子育て援助活動支援事業とは、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる援助のいずれか又は全てを受けることを希望する者と当該援助を行うことを希望する者(個人に限る。……)との連絡及び調整並びに援助希望者への講習の実施その他の必要な支援を行う事業をいう。— 児童福祉法 第6条の3第14項
条文が定義しているのは「預かる事業」ではありません。「連絡及び調整」と「講習の実施」を行う事業です。センター自身が預かるのではなく、預かってほしい人と預かりたい人を引き合わせるのが事業の中身だと、法律に書かれています。
★援助してくれるのは「個人」——地域の会員
もうひとつ、見落としやすい括弧書きがあります。援助を行うことを希望する者は「個人に限る」と明記されている点です。
国の実施要綱でも、依頼会員と提供会員の請負又は準委任契約に基づいて活動が行われること、預かる場所は会員の自宅、児童館や地域子育て支援拠点などとし、会員間の合意により決定することが定められています。要綱には次の点も書かれています。
- 市区町村がセンターにアドバイザー(調整等の事務を行う者)を配置すること
- 提供会員全員に対し、AEDの使用方法や心肺蘇生等の実習を含む緊急救命講習、事故防止に関する講習、虐待防止・ヤングケアラーに関する講習を必ず実施すること
- 少なくとも5年に1回フォローアップ講習を実施すること
- 活動中の事故に備え補償保険に加入すること
- 一度に預かる人数は提供会員1人につき原則1人とすること
会員登録から実際に預けるまでの流れ
①センターに会員登録 →②希望を伝える →③センターが提供会員に打診・調整 →④会員同士で事前打ち合わせ →⑤当日という順序です。登録要件は市区町村で違います。神戸市は、依頼会員と「協力会員」を事務局が紹介する仕組みと説明し、入会金・会費は無料、依頼の際に1時間あたり700円または800円の利用料が発生すると案内しています(出典:神戸市)。
⚠️ これは神戸市の例です。国の要綱では報酬は原則として会員間で決定するものとされています。全国一律の料金はありません。
⚠️ 希望した日に必ず見つかるとは限らない理由
ここまでで、条文から論理的に言えることがあります。
ファミサポはつなぐ事業であり、援助する側は個人に限られます。だとすれば、預けたい日に電話をしても、その日に動ける提供会員が地域にいなければ調整は成立しません。 空き枠ではなく、人が見つかるかどうかで決まる仕組みです。こども家庭庁の資料では、全国の依頼会員が約60万人、提供会員が約14万人とされています。
だから現実的な使い方はこうなります。使うかを決める前に、登録だけ済ませておく。 登録前は調整が始まらず、事前の打ち合わせにも時間がかかるからです。急かす話ではなく、手続きの順番がそうなっているというだけです。
★一時預かりとファミサポの使い分け(比較表)
| 一時預かり事業 | ファミリー・サポート・センター事業 | |
|---|---|---|
| 法律上の位置づけ | 児童福祉法 第6条の3第7項 | 同 第14項(子育て援助活動支援事業) |
| 事業の中身 | 施設等で一時的に預かり、必要な保護を行う | 預かりたい人との連絡・調整、講習の実施 |
| 預かるのは誰か | 施設の職員(要綱に配置の定めあり) | 地域の提供会員=個人(条文に「個人に限る」) |
| 場所 | 保育所、認定こども園、幼稚園、その他の場所 | 会員の自宅、児童館、地域子育て支援拠点など |
| 申込先 | 実施施設または市区町村 | 市区町村のセンター |
| 決まり方 | 施設の空き枠 | 提供会員とのマッチング |
| 料金の決め方 | 自治体・施設によって設定 | 原則として会員間で決定 |
日時が決まっていて確実に押さえたいなら、まず一時預かりの空きを当たる。送迎や施設の前後の時間など細かい穴を埋めたいなら、ファミサポの登録を進めておく。両方の窓口を開けておくのが現実的です。
そのほかの預け先
認可外保育施設・企業主導型保育
認可を受けていない保育施設は、児童福祉法第59条の2により、設置者が都道府県知事に届け出なければならないとされています。認可の申込みとは別に、施設へ直接問い合わせて契約します。企業主導型保育事業も直接申し込むタイプで、地域枠を設ける施設もありますが、条件は施設ごとに違います。
幼稚園の預かり保育
幼稚園や認定こども園が教育時間の前後や長期休業日に行う預かり保育は、国の一時預かり事業実施要綱で「幼稚園型」とされています。対象は主としてその園に在籍する満3歳以上の幼児です。実施の有無・時間・費用は園で違い、無償化との関係で扱いが変わる場合もあるため、園と市区町村の両方で確認してください。
病気のときは対象外——別の制度になる
多くの一時預かりで、病気のこどもは対象外です。福岡市も対象児童について「病児・病気回復期は利用できません」と明記しています。病気のこどもの預かりは、法律上、別の事業です。
この法律で、病児保育事業とは、保育を必要とする乳児・幼児又は……小学校に就学している児童であつて、疾病にかかつているものについて、保育所、認定こども園、病院、診療所その他内閣府令で定める施設において、保育を行う事業をいう。— 児童福祉法 第6条の3第13項
⚠️ 実際に預けられるかは体調や施設の体制で変わります。受け入れの可否をこの記事で判断することはできません。 かかりつけ医と、実施施設・市区町村の窓口に確認してください。
保育園に入れなかったときに、並行してやっておくこと
次の入所申し込みに向けて
次の申込みの受付時期・締切・必要書類は市区町村ごとに決まっており、年度途中の受付をしている自治体もあります。申込みの時期や書類の考え方は保活はいつから始めるべきかで整理しています。手続き全体の見直しは出産後にやる手続き全リスト、働き方の調整は時短勤務と年金の特例を。
育児休業を延長する場合の手続き
⚠️ ここは要件が細かく、見直しも入っている領域です。この記事では断定しません。
厚生労働省の案内によると、2025年4月以後の延長では、従来の入所保留通知書などによる確認に加え、利用申し込みが、速やかな職場復帰のために行われたものであると認められることが必要になりました。延長時の支給申請書には、次の書類を添付することとされています。
- 育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
- 市区町村に保育所等の利用申し込みを行ったときの申込書の写し
- 市区町村が発行する保育所等の利用ができない旨の通知(入所保留通知書、入所不承諾通知書など)
⚠️ いま手を動かせることはひとつです。入所申込書の写しが手元にあるか確認すること。 厚生労働省のリーフレットでも、申し込みの際に必ず写しをとって保管するよう案内されています。
申込みの時期や希望する施設の範囲にも要件がありますが、個別の事情で判断が変わります。 ご自身のケースが当てはまるかは、必ず管轄のハローワークに確認してください。 金額は育児休業給付金はいくらもらえるかに。なお同給付は雇用保険の制度で、会社員以外は前提が変わります(自営業・フリーランス・経営者の育休)。
よくある質問
Q. どちらに先に連絡すればいいですか。
A. 日程が決まっているなら一時預かり、まだ固まっていないならファミサポの登録を先に。登録しないと調整が始まらないため、済ませておくと選択肢が減りません。
Q. ファミサポは安く預けられる制度ですか。
A. そういう位置づけではありません。料金は原則として会員間で決めるものとされ、目安の定め方も自治体で違います。そして預けたい日に提供会員が見つかるとは限らない仕組みです。
Q. 提供会員は資格を持った人ですか。
A. 条文上、援助を行うのは個人の会員です。国の要綱では、提供会員全員への緊急救命講習・事故防止・虐待防止等の講習と、少なくとも5年に1回のフォローアップ講習が定められています。運用は市区町村ごとに違うので、登録前にセンターに確認してください。
この記事のまとめ
- 一時預かり事業(児童福祉法第6条の3第7項)は施設が預かる事業。料金・時間・回数は自治体と施設で大きく違います。
- ファミサポ=子育て援助活動支援事業(同第14項)は預かる事業ではなく、つなぐ事業。援助を行うのは「個人に限る」と条文にあります。
- だから希望した日に見つかるとは限りません。 決める前に登録だけ先に済ませておくのが現実的です。
- ほかに認可外保育施設、企業主導型保育、幼稚園の預かり保育があり、いずれも施設・園に直接当たります。
- 病気のときは病児保育事業という別の制度です。可否はかかりつけ医と施設・自治体に確認を。
- 育休延長の可能性があるなら、入所申込書の写しが手元にあるかを今日確認を。判断はハローワークで。
名前が似ていて混ざりやすいところですが、どこに何を頼む仕組みなのかが分かれば、窓口の順番はつけられます。まずはお住まいの市区町村の公式ページを1つずつ開くところからで大丈夫です。
e-Gov法令検索「児童福祉法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000164
福岡市「一時預かり事業」 https://www.city.fukuoka.lg.jp/kodomo-mirai/jigyo-tyosei/child/itijiazukari01_2.html
こども家庭庁「ファミリー・サポート・センター」 https://www.cfa.go.jp/policies/kosodateshien/family-support
厚生労働省「育児休業給付金の支給対象期間延長手続き」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00040.html


