5歳児健診と1か月児健診|何をするのか、まだ無い自治体がある理由

小さな椅子と身長計、絵本の棚がある保健センターの待合(5歳児健診のイメージ) 手続き・お金
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「5歳児健診があるらしい」と聞いて調べたら、自分の住んでいる市には無かった。

そういうことが起こります。おかしいわけではありません。理由があります。

結論

  • 市町村に義務づけられている健診は「1歳6か月児」と「3歳児」の2つだけです(母子保健法第12条)
  • 5歳児健診と1か月児健診は、義務ではありません
  • ★ 国は2023年度(令和5年度)の補正予算から、この2つへの補助を始めました
  • ⚠️ まだ実施していない自治体があります。 4〜6歳児健診の公費負担は15%という調査があります
  • 1か月児健診は原則「個別健診」、5歳児健診は原則「集団健診」
  • 3歳児健診のあと、就学時健診まで健診がない——その空白を埋めるのが5歳児健診です

★義務なのは、2つだけです

母子保健法にはこう書かれています。

市町村は、次に掲げる者に対し、内閣府令の定めるところにより、健康診査を行わなければならない— 母子保健法 第12条第1項

その「次に掲げる者」は、条文でこの2つです。

  • 満一歳六か月を超え満二歳に達しない幼児(=1歳6か月児健診
  • 満三歳を超え満四歳に達しない幼児(=3歳児健診

「行わなければならない」と書かれているのは、この2つだけです。

では、ほかの健診はどういう位置づけかというと、次の条文です。

前条の健康診査のほか、市町村は、必要に応じ、妊産婦又は乳児若しくは幼児に対して、健康診査を行い、又は健康診査を受けることを勧奨しなければならない— 母子保健法 第13条第1項

「必要に応じ」。 ここに、1か月児健診も5歳児健診も入ります。

⚠️ だから、やっている市とやっていない市があります。 引っ越すと有無が変わることも起こります。

健診全体の話は乳児健診は何を見ている?にまとめています。

国が補助を始めました

義務ではないままだと広がらないので、国が費用の補助を始めました。

新たに「1か月児」及び「5歳児」に対する健康診査の費用を助成することにより、出産後から就学前までの切れ目のない健康診査の実施体制を整備することを目的とする。— こども家庭庁「「1か月児」及び「5歳児」健康診査支援事業」(令和5年度補正予算)

その中身が、こう決められています。

1か月児健診5歳児健診
対象1か月頃の乳児5歳頃の幼児
やり方原則として個別健診原則として集団健診
補助の単価4,000円/人3,000円/人
費用の負担\_国1/2、市町村1/2
実施主体\_市町村

「個別健診」は、産院や小児科など医療機関で受ける形。「集団健診」は、保健センターなどに集まって受ける形です。

⚠️ この補助は市町村に対するものです。 保護者の自己負担がいくらになるかは、市町村ごとに決められます。

それぞれ、何をするのか

事業の資料に、健診の内容がそのまま書かれています。

1か月児健診

健診内容:身体発育状況、栄養状態、身体の異常の早期発見、こどもの健康状態や育児の相談等— 同事業

「育児の相談等」が入っているのがこの健診の特徴です。産後まもない時期なので、赤ちゃんのことだけでなく、親の困りごとも受け止める場として位置づけられています。

実際、資料はこう続けています。

健康診査の結果等の情報の活用などにより伴走型相談支援の効果的な実施につなげること。また、健康診査の実施が虐待の予防及び早期発見に資するものであることに留意し、こども家庭センターなどの関係機関とも連携しながら、必要な支援体制の整備を行うこと。— 同事業

「困っていたら言える場」として設計されています。 遠慮する場面ではありません。

5歳児健診

健診内容:発達障害など心身の異常の早期発見(精神発達の状況、言語発達の遅れ等)、育児上問題となる事項、必要に応じ、専門相談等— 同事業

就学前に、発達の面で気になることがないかを見る健診です。

そして、結果が出たあとのことまで書かれています。

健康診査の結果、発達障害等(発達障害等の疑いを含む。)と判定された幼児について、就学前までに必要な支援につなげることができるよう、関係部局や都道府県等とも協力しながら、地域における必要な支援体制の整備を行うこと。— 同事業

「見つけて終わり」ではなく、就学までに支援につなげることまでが事業の中身になっています。

★なぜ5歳なのか

こども家庭庁の審議会資料に、理由がはっきり書かれています。

多くの市町村では、3歳児健診(法定健診)以降、就学時健診まで健診がない。乳幼児への切れ目のない母子保健の提供のため、社会性発達の評価、発達障害等のスクリーニング、健康増進を目的とした、5歳児健診の標準化・体制整備が必要。— こども家庭庁「乳幼児健診について」(第4回こども家庭審議会成育医療等分科会・令和6年11月20日)

3歳から就学まで、健診が無い期間があります。 ここが2〜3年あります。

同じ資料には、こうもあります。

特別な配慮が必要な児に対して早期介入を実施することで、保護者の課題への気づきや生活への適応が向上する可能性が指摘されており、5歳児健診により学童期の不登校発生数が減少したという研究結果もある。— 同資料

「減少したという研究結果もある」という書き方です。断定ではありませんが、5歳という時期が選ばれた理由がここにあります。

⚠️ まだ実施していない自治体があります

同じ資料に、実施率の調査が載っています。

(4~6歳児健診について、公費負担を実施している自治体は15%(令和3年度母子保健課調べ))— 同資料

⚠️ ★ 調査時点で15%です。 補助が始まったのは令和5年度補正予算からなので、ここから増えている途中、という状況です。

なぜ広がりにくいのか

資料は、現場の声をそのまま挙げています。

1か月児健診については、求められる健診項目の専門性が高く、産婦人科医の参画にハードルがある5歳児健診については、発達障害等のスクリーニングは時間がかかるため5歳児全員に実施するのは困難、発達障害等の疑いのある子へのフォローアップ体制の構築が困難等の声が聞かれ、実施自治体が必ずしも多くはないのが実情。— 同資料

「やる気がない」のではなく、人と体制の問題です。とくに5歳児健診は、見つけたあとの受け皿がないと成立しないため、慎重になります。

自分の市に無いときは

⚠️ 「無いから受けなくていい」ということにはなりません。 気になることがあるなら、健診を待たずに動けます。

相談先どんなとき
かかりつけの小児科発達や体のことで気になることがある
こども家庭センター(市区町村)育児全般、どこに相談すればいいか分からない
通っている園の先生集団の中での様子を知っている

園の先生は、同じ年齢の子を毎日たくさん見ています。 家庭では気づきにくい場面の情報を持っているので、まず聞いてみる価値があります。

⚠️ 就学時健診は、小学校入学の前年に必ずあります。 ただし5歳児健診より遅い時期なので、気になることがあるなら、それを待たないでください。

健診で仕事を休むとき

⚠️ 健診は「子の看護等休暇」で休めます。 有給を削る必要はありません。

子の看護等休暇は小学3年生までにまとめています。

この記事のまとめ

  • 義務なのは「1歳6か月児」と「3歳児」の2つだけ(母子保健法第12条)。ほかは第13条の「必要に応じ」
  • 5歳児健診・1か月児健診は義務ではない。 だからやっていない自治体がある
  • ★ 国は令和5年度補正予算から補助を開始(1か月児4,000円/5歳児3,000円、国1/2・市町村1/2)
  • 1か月児健診=原則個別健診。 身体発育・栄養状態・異常の早期発見に加え、★育児の相談まで含む
  • 5歳児健診=原則集団健診。発達障害など心身の異常の早期発見と、★就学前に支援へつなぐことまでが中身
  • 3歳児健診のあと就学時健診まで健診が無い。 その空白を埋めるのが5歳児健診
  • ⚠️ 4〜6歳児健診の公費負担は15%(令和3年度調べ)。★広がっている途中
  • ⚠️ 無い場合は、健診を待たずに小児科・こども家庭センター・園に相談してよい

まずはお住まいの市区町村の母子保健のページで、5歳児健診があるかどうかを確認してみてください。

保育園のことは保活はいつから?、出産後の手続き全体は出産後にやる手続き全リストにまとめています。

この記事について

この記事はイクジヒロバが公開したものです。運営:やすぴ。内容は母子保健法およびこども家庭庁の公表資料にもとづき、2026年(令和8年)9月時点で記載しています。

⚠️ 健診の実施の有無・時期・自己負担額は、お住まいの市区町村によって異なります。また、発達に関する判断は健診や医療機関が行うものです。 気になることがあるときは、かかりつけの医療機関または市区町村の窓口にご相談ください。運営者・監修者のプロフィールは運営者情報をご覧ください。

📚 この記事を書くために参考にした情報
e-Gov法令検索「母子保健法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000141
📚 この記事を書くために参考にした情報
こども家庭庁「「1か月児」及び「5歳児」健康診査支援事業」 https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/ff38becb-bbd1-41f3-a95e-3a22ddac09d8/6a0d17f1/20231129_policies_boshihoken_136.pdf
📚 この記事を書くために参考にした情報
こども家庭庁「乳幼児健診について」(第4回こども家庭審議会成育医療等分科会 資料2-2・令和6年11月20日) https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/0238af12-b583-4c09-9a67-0f2f7cb19c1c/1b5db65b/20241120_councils_shingikai_seiiku_iryou_0238af12_05.pdf
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